ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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現実.56

公開日時: 2020年12月27日(日) 08:58
文字数:1,202

  一階。信長がどんどん進むので、目の前は暗い。三人とも懐中電灯を点ける。ゾンビの発光はない。信長がガラガラと音を立てて探す。

  真っ暗で危ない。一階には何もない。二階に行く。ミズホさんとヨウジ君は黙って従ってくれる。

  二階に行く階段の途中、物で通らなくしてある。人間が住んでいたか、まだ住んでるか。

  バリケードをどかして通れるようにはなっていない。ここからは通れない。他の場所。多分、屋上か二階や三階の窓からでも出入りしてるのだろう。


  他にも店舗はある。ここは諦めようとしたが信長が来て、バリケードの物をどんどんどかしていく。


「他の所を探そう」

「バカやろう。こういう所にあるんだろうが」

俺の言葉に信長はそう言いながら乱暴に物をどかしていく。

「ほら、見てないで手伝え。何の為に来てるんだ?」

  信長は言いながらも既に半分位どかし進んでる。仕方ない。俺はミズホさん達にうなづく。信長がどかした物を俺達は下にどかし始める。


  二階に発光体はない。信長以外の足跡は付いている。だが何もめぼしいのは無かった。三階の階段はバリケードが無い。信長はかまわず進む。ゾンビが居ないのが分かってるからだ。いるとしたら人間。人間相手なら余裕と思ってる。

  三階も何も無かった。俺はトイレや、どかした跡とかを見る。大きな荷物棚の後ろとかに隠す場合が多い。壁を壊し中に隠してポスターを貼ったり。そんな可能性のある場所を探す。

  不自然な場所に机。机の上にかすかに足跡。ピンとくる。屋根裏に何かある。

  俺は机の上に立つ。天井の壁を押す。開いた。懐中電灯を照らす。何箱かの段ボール。多分中身が入ってるはず。俺は段ボールの一つを取る。食料だった。ほとんどがカップ麺。ソーメンやスパゲティの乾麺。信長が、やるじゃねぇか。と褒める。

  全部で五箱。充分な収穫だ。見張りの男も呼び、箱のまま荷台に乗せる。

  これだけの量の食料を一回で見つけるのは難しい。誰もが上機嫌。夜明けまで二時間。俺は宿探しを始める。荷物を持ってうろつきたくない。

  信長が[上がって正解だろ]と自慢する。信長が本屋に入る。多分、暇つぶしの本を物色するのだろう。

本屋を拠点にしてもいいと思う。誰も奥まで入らない。本屋には食料はもちろん生活必需品は無いからだ。本棚も光隠しやバリケード代わりにちょうどいい。

  俺と信長が見張る。他の四人は本を物色し始める。信長は立ちながら本を読んでる。ヤクザのなんたら。という信長が選びそうな本だ。


  俺は辺りを見渡す。ゾンビの発光しか居ない。人間は見当たらない。

他の人間は駅の方を物色してるのか?

物音がした。信長も気付き本から目を離す。両方の道路から人間が現れた。十数人。どちら側からも同じ人数。

逃げ場所は小道があるが四人はまだ本屋の中。それにこの人数相手では逃げられない。

  何個もの懐中電灯を向けられる。俺は短く口笛を吹く。四人が戻って来る。戻って来た時には囲まれた。三十人から四十人。


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