ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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現実.128

公開日時: 2021年4月5日(月) 08:38
文字数:1,216

服がまた血で染まる。身体を洗い服を替えたいが「手を洗いたい」とだけトニに言う。

身体を洗うのは贅沢な部類。どうせまた血まみれに。手はライフルを握る。ただでさえ繊細ではない皮膚でトリガーを引く。必要だ。俺の持ってる水筒の水だけでは足りない。


向かいながら探そう。とトニは言い、明るい方へ歩く。俺もついていく。


明るい方へ走ってく発光体がチラホラ見かける。そのつど俺はうつ伏せになりライフルを構える。


こっちは三人。だが遠くから見ればトニとパルの発光に隠れて俺が見えないだろう。それを利用する。その話を手を洗いながらトニ達に話す。二人はうなづく。


突然、道の向こうからトラックが飛んできた。大きな音と共に落ちる。破片が散乱する。

「来るぞ」トニが言う。

横たわったトラックの向こう側が見えない。

「何人?」

「十人近く」

俺は物陰に隠れてライフルを構える。五、六人の敵がトラックを飛び越えて向かって来た。着地地点を標準に当てる。スコープに入った敵を撃つ。

向こうから銃声は聞こえない。多分、銃は持ってない。そう決めつける。

走って来る。松果体など狙う余裕がなく、手や足、肩を狙う。

敵は銃声に怯まないでトニ達に向かって来る。俺はひたすら撃ちまくる。当たってるのか分からない。


何人かがカマやナイフ、オノを投げつけてくる。俺の方には来ない。俺には気付いてないのか。そんなはずはない。

狙撃は当たる可能性が低いから後回しと考えてるのか?もしくは近くのポピュレーターから倒すのか?


一人の松果体に当たる。当たるとパーティクルが霧散してくので分かる。

すぐ近くのポピュレーターが、そのパーティクルを回収する為に一瞬、足が止まる。俺はそれを狙い撃つ。当たる。ソイツのパーティクルも霧散する。

近くのポピュレーターが物陰に隠れようとする。その一人をパルが襲いかかり顔目掛けてナイフを振りかざす。トニは近づいた敵を片っ端から殴りかかっている。

俺はトニに襲ってかかっているポピュレーターの足を狙い撃つ。


トラックの横の二人の敵が俺の方に発砲してる。銃を持っていた。向こうが見えてるのは、俺の頭部とライフルだけ。

当たるはずがない。そう思い込む。

そう思い込まないと、身を潜めたくなる。我慢して標準を見定める。撃つ。一人倒れる。もう一人はうつ伏せに転がり物陰に隠れる。


パルは、逃げようとしてるポピュレーターを追いかけている。逃げてるポピュレーターの足を撃つ。転ぶのを見てすぐにトニを見る。トニと戦ってるポピュレーターの腕や肩を撃つ。

上半身はダメだ。危うくトニの腕に当たるところだった。

足を狙う。先ほどの銃で撃ってきたヤツがまた俺を撃ってくる。次撃ってくる瞬間を狙う。集中力が増す。指先に神経が向く。標準の誤差を無意識に修正する。相手が覗いた瞬間、撃った。当たる。パーティクルが霧散していく。


静かになる。トニ達が倒れてるポピュレーターに近付き霧散していくパーティクルを回収している。


俺は立ち上がる。

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