ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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現実.33

公開日時: 2020年11月7日(土) 08:32
文字数:736

  道路から起き上がる。ずっと寝転んでいたり座ってると身体がおかしくなる。痛くなったりおかしくなる感覚が分からないので、これ以上は身体に負担がかかるだろうと予測し意図的に動かしている。痛みや感覚はないが人間の身体なのだ。自己修復するとはいえ、おろそかにしてはいけない。


  小説を書くと、あの頃の自分の気持ちが昨日の事のように思い出せる。

  志織を守る気持ち。ナイトとかの誇らしい気持ちとかはない。あるとしたら、これまで守ってこれたという自負だけだ。守るべき誇り。ではなく、守ってこれた誇り。結果論からの自負。

責任感ではない。自分の生存目的達成の為。だから誰かに任したくない。たとえ自分より強く安全であってもだ。


  志織は俺の所有物ではない。志織が俺から離れたいと思うならば俺は離れなければならない。志織の望みは叶えさせたい。どこかでおこがましい気持ちがある。


  何様だ?俺は。


  何故、志織だけ特別なのか分からない。可愛いし、尊敬もしている。俺の命を助けてくれた。志織が居なくなれば俺はまた違う人間を守ろうとするか?ツトムさんやミズホさんを守ろうとするか?

  きっとしないだろう。志織だから守る。志織以外はどうでもいい。


   いつかは独りになる。その覚悟はしている。覚悟しとかないとその時に哀しくなるからだ。予防線を張る。心が痛くならないように。想定しとく。寂しさで苦しみたくない。

  独りになったら、このまま何も食べず、ゾンビに食べられてもいい。痛みも感じない。意識が遠のき、そのまま何にも感じないままでいい。

死は最初と合わせて三度経験した。別になんて事なかった。ヤバい。と思っただけだった。痛みも恐怖すらもなかった。


  やるべき事を考える。小説の続きを書く位しか思い付かない。まだ真夜中。俺にとって平和な時間。


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