ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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現実.2

公開日時: 2020年9月16日(水) 21:17
文字数:546

  そこまで書いて、しばし指を止め、「いや、先分かりは良くないな」と俺は独り言。ストーリーに緊張感が無くなる。


  左腕の手袋を外す。肘下から指までが膨らんでいる。肌には髪の毛や服の切れ端、小石が埋まっている。人間にあたる排泄物が、俺の場合は左腕から滲み出る。匂いは鈍感で分からないがおそらく生臭い。


  臭さは自分だけなら大丈夫なんだが、志織がいる。


  この腕はほっとけば大きくなり腐敗し、やがてボタボタと崩れ、もの凄い腐臭が漂う。腐った肉が腕にこびりつくのだ。


  だから俺は腕を丸ごと切り落とす事にしてる。体内に入れた肉は、急速に分解、再構築され自分の血肉、骨となる。と、あの医者が言っていた。


  実験と称し鉄ばかりを摂取した時があったが、左腕が重くなるばかりで無意味だった。手がハンマーやナイフみたいになれば。と少し期待していたのだが。


  手を切り落としても、タンパク質やカルシウム…人肉を摂取すれば元に戻る。


  今はもう人間の死体は見かけないのでゾンビから摂取する。気持ち悪いが片腕が使えなくなるのはとても不便。


  豚肉を食べてみたが、皮膚が豚と同じような肌になったので、人肉以外は摂取しなくなった。


  志織は寝たようだ。俺は腕を切り落としゾンビを摂取する為に静かに志織から離れた。


  当然、志織が視界に入る場所しか移動出来ないが。


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