ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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現実.134

公開日時: 2021年4月6日(火) 01:12
文字数:1,186

まるで昨日に戻ったかのような今日。同じ日々の繰り返し。屋上でひたすら味方でないポピュレーターを狙い定め引き金を引く。後ろや周りを気にしながら。


朝も昼も夜も。文字通り一日中殺し合ってるのにポピュレーターが減ってる気配がない。

飽きる事なく延々と殺し殺され地面に倒れていく。遺体は増え続けると思いきや摂取されてくので、思った程増えてはいない。


確実な事が一つ分かった。人間の価値観は通用しない。俺もその事に違和感はなくなる。現実を受け入れる。順応性が高い。ある意味諦めの境地。

受け入れたくないのは二つ。俺が死ぬ事。志織が死ぬ事。それ以外は誰が死のうがかまわない。

冷たいのではなく、その二つで精一杯なだけだ。


日に日に思考が麻痺していく感覚。敵を狙い撃つだけの行動のみ。弾や銃の補充は味方の誰かしらが持って来てくれるようになった。屋上にはもう何十丁ものライフルがある。

片っ端から試し、使えないのは壊していく。たまに手榴弾か爆弾を投げたくなる。早く終わらせたい。

シンやエイが来ないかを願ったりもする。


志織とは一度も会ってない。何度も探しに行こうかと思っただけだが、俺は間違いなく殺される。近接戦の経験をするなんて無謀。無理。


一対一でも厳しいのに、四方八方から狙われる場所での戦闘など自殺行為。


撃ち続けてくと銃身が熱を持つ。銃を取り替える。

背後に気配。二人組。敵だ。いつの間に?俺は慌てる。ナイフを次々と投げられお腹に刺さる。肩に刺さる。俺は飛び降りる。

二階の手すりに捕まろうとしたが、失敗する。そのまま地面へ落ちる。両足が折れて曲がる。転がりながら味方の場所へ。

「屋上に敵」

俺は怒鳴るように叫ぶ。這いずりながら、安全な場所へ移動。

ため息を吐く。油断してた。お腹と肩に刺さったナイフを抜く。気付かなかったが背中に三本刺さっていた。

流れる血を見ながら、近くの遺体を摂取する。


あの二人組と戦うならどう戦うのかを模索する。志織はどうやって倒すのだろうか?投げつけられたナイフを掴めるのか?避ける事なら可能だろう。避けながら近づき倒す。イメージがアニメ化でしか浮かばない。

アニメなら、ナイフを避けながら敵に近付く。ナイフを掴み投げ返す。一人の頭に刺さり倒し、近付けたもう一人の敵を倒す。

現実はかなり厳しい。そもそも、味方の目をかいくぐり屋上まで来れたのだ。弱くはない。ならナイフを投げ返す事も予測してるはずだ。それにナイフ以外にも隠してる武器もあると思う。

そもそも、運が良かった。たまたま銃を取り替える時に気付いた。撃つ事に集中していたら後頭部にナイフが刺さっていた。


足の指まで動かせるようになる。立ち上がる。遺体から綺麗な靴を脱がし取り替える。服は裂けてるがまだ着れる。

また屋上に上がる。階段の割れてない窓ガラスを外す。屋上へ上がり扉に窓ガラスを立てかけた。扉が開いたら割れて気付くようにした。

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