ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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小説の小説.15

公開日時: 2021年2月11日(木) 07:51
文字数:857

  結局エイを倒す話はウヤムヤになり飛行機でインドへ向かう。

  向かう途中にトニが運転したいと、言い出しパルからトニへ変わる。しばらくしダビが行き先が違う事に気付く。

  操縦しているトニの様子がおかしい。トニの目や挙動からトニ自体の意思が見えない。うつろだ。誰かに操られてる。


「エイだ」

  ダニも気付いたようで言った。ヒロ以外が座席から立ち上がる。

  まさか?と思いつつも、エイにいつ気付かれた?と記憶の違和感を探し出す。


「お前らに話がある」

  トニが言った。声がいつものトニの口調ではなかった。私は話しかけるがトニは一言も返さない。


  陝西省西安の驪山りざんで飛行機が降りた。エイの拠点地。物凄い量のパーティクルがこの辺りを渦巻いている。

「この量はすげーな」

  パルが周りを見ながら言う。私はダビに、逃げよう。と目で訴える。

「攻撃的でないから様子見だな。それにトニをこのまま置いてはいけない」

  ダビは言う。


  今は観光の名所になってる施設。地下墓所の奥の方にトニが躊躇なく進む。

  以前は周りに何千体もの兵馬俑(へいばよう)と呼ばれる土人形があった。だが、そこには現在の人間達が並んでいる。それも何千人も。全ての人間はパーティクルで包んである。多分、この地下にもたくさん集めてるはずだ。


「エイの保存用だろう」

  ダビが正解を口にした。

「こんなにパーティクルを閉じ込めておけるなんて」

  パルが驚いて言う。誰も死んではいない。自然死したわけではなく、エイに生かされている。この人間のパーティクルはエイにしか回収出来ない。

  ここはエイのパーティクル保存用の場所。エイ以外誰も来れない。エイに襲われるので近付く事すら出来ない。


  私も人間にパーティクルを保存した事がある。が、数体だけでも蓄えた大量のパーティクルを使う。効率がすこぶる悪い。


  指令が発動された時に各々が持っているパーティクルは全てリセットされる。だがリセットされる前に違う場所にパーティクルを保存しとける。

  カニもバイも同じ事をしてカーリーになった。それは桁違いのパーティクルを持っているカーリーにしか出来ない。


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