ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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現実.139

公開日時: 2021年4月10日(土) 08:27
文字数:822

すぐ見つかると思っていたパルとトニはなかなか見つからず、隠れながら捜す数日を過ごした。俺は何度も襲われては逃げる。逃げるといっても赤色のポピュレーターへ近寄るだけだ。俺を襲う敵が味方の方に標的を合わせてくれるか、味方が倒してくれる。


戦おうとは思ってる。だが襲われると逃げる思考になり身体も喜んで逃げる事に賛成する。

このままでは弱いまま。弱いままでは志織を守るなんて出来ない。

分かっている。分かっているが、殺しにくるポピュレーターを目の前にしたら、難しい。なんとか倒せるかもしれないが殺される可能性の方がはるかに高い。

前提条件が違うのだ。俺は死なないようにが優先。ポピュレーター達は回収が優先。自己の命の重みが全く違う。


味方からつかず離れずの距離を保ちながら捜し続ける。


人が多く集まってる場所には、明るい発光体が一人はいる。全員がまとめて一番強い相手を殺しにかかれば殺せるはずだが、なかなかそうはならない。殺しにかかる横から違う敵に殺される。


敵の敵は味方。だが瞬時に敵になる。そして不思議な事に、明るい発光体同士は近付かない。今まで強者同士が戦ってるのを見た事がない。何かがあるのかもしれない。


強いポピュレーターはひたすら殺していく。喰べながら倒している。凄い集中力。とても敵わない。のけぞりかわした相手の剣が流れる。その流れを変えないようにその剣を蹴る。勢いのついた剣は近くのポピュレーターを切り裂く。それと同時にその剣を持っていたポピュレーターの後頭部を自分の剣で突き刺す。

ほんの一秒二秒の出来事だが、スローモーションで観れたら無駄のない動きと旨さで、もっと感動するだろう。

熟練同士の殺陣を観てるようだった。


屋上から見ていると下のポピュレーター達に思い切り石つぶてを投げたくなる。傷つければその分早く死ぬ可能性が高くなる。早く終わらせられる。だが、それをしたら標的が俺になる。守ってくれる味方はいない。

次のビルへ移動しながらトニとパルを捜す。

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