「高性能スコープがあるかもしれない」
パルはそう言い小屋に入り箱を片っ端から探す。トニが俺に小屋に行け。と首を動かす。
「いいのがない」
パルが言いながら机の上にスコープを何個か置く。探し出したスコープはどれも同じ型のスコープだった。ポピュレーター達にとってスコープはアテにならない武器。狙撃は向いていない。
俺の唯一の利点が出来た。遠くからの狙撃。スナイパー。
パルが色々な銃を品定めして一丁の銃を俺に手渡し言った。「頼むぞ」
俺はうなづく。俺は役に立てる。背中がゾクッとなる。
ポピュレーターは狙撃される可能性は低いと思ってくれていたら助かる。自分が出来ない事は、同じポピュレーターも出来ないと思うはずだ。
ふと思った事を試す。俺は弾の入った鉄缶を持ち、パルから少し離れて聞く。
「この文字読めます?」
「ダンガーだろ」
「ならこれは?」
次に小さな文字を指す。
「フルメタルジャケット」
「これは?」
一番小さな文字を指す。
「…分からん」
「全く?」
「ボヤけてるな」
俺は鉄缶を置いてパルの横に並び鉄缶を見る。小さな文字もしっかりと読める。ボヤけてもない。
ポピュレーターは俺より目が悪い。俺の視力は普通なはず。
視力の代わりに発光で見れる。人間は発光が見えない代わりに視力が発達したのかもしれない。
どちらでもいいが、ポピュレーター達より俺の方が視力が高い。
使える唯一の武器。正直、かなり嬉しい。
「志織達が激戦区に入った。俺達は動けなくなる」
見張りをしてたトニがドア越しから声をかけた。
「俺は視力がポピュレーター達よりかなりいい。スコープを覗くと発光が消えるから狙撃できる」
俺はトニに言った。本体のトニへ伝わる。志織にも伝わるだろう。
「誰かがスコープのいいヤツを持ってくるそうだ」
パルが言った。すでにパルのシェーリーが動いてくれていた。
「下に横穴があっただろう。その通りに隠れた穴があるんだ。その奥に俺達がいる」
ダビデのパペットを背負いながらトニが言った。俺はうなづく。
絶対に無理するなよ。危なかったらその穴へ来るんだ。お前を死なせたら俺達が志織に殺されるんだからな」
冗談混じりにパルが付け足しハシゴを降りる。
「頼むぞ」
パルが俺の肩叩き、トニの後に続く。
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