一番高いオフィスビルの屋上から、周りの屋上を眺める。貯水タンクを探す。身体の動かし方に慣れたので、ビルからビルへジャンプする。以前のようにいちいち下まで降りて隣のビルに登るなんてやっていられない。
貯水タンクに水があったが、内側が錆びて飲料には出来ない。身体を洗った。
昼間、ゾンビの時間。俺は近くの民家で新しい服に着替える。偶然、窓から住宅の屋根を移動している人間を見つけた。普通の人間ではない。まるでタオのようだった。ソイツが突然立ち止まり振り返り俺の方を見た。たくさんある民家の中の小さな窓から覗いてる俺を見つけるはずがない。だが、なんらかの識別ができるのかも。
隠れたかったが、目が離せない。こちらに近付いて来たら逃げるつもりだ。気付いてるのか分からない。
そいつはまた向こうへ走り出した。
俺はホッとしたが、急いでここから離れる。ひょっとして安心させて、下からこちらに来るのかもしれない。急いで志織のところに戻る。
自分の頭までの高さまでならジャンプ出来る。車に飛び乗る位なら余裕。着地がまだ難しく、意識して足を着けないと挫く時がまだある。
志織の所へまっすぐ向かう。壁を乗り越え、車を跳び越え。手も使い屋根にかけ登る。屋根を走り跳び降り、直線的に志織のいるマンションへ。
マンションにはゾンビが群がっている。ジャンプし、ゾンビの肩から肩へ足を置き移動する。が、足がズレ転ぶ。やはり無理だった。
ゾンビをかき分け、塀から二階のベランダへ跳び移る。周りを見渡す。転んだ時に服が破けてた。普通に走っても時間的にそう変わらなかった。
隣のベランダから志織が顔を出す。
「どうしたの?」
「いや、屋根を走ってたヤツがいた。タオみたいだった」
「一人?」
「一人しか見てない」
「一人なら大丈夫じゃない?」
一人なら俺なら相手出来ると判断したのか。二、三人あんなのがいたら逃げ切るのも難しいだろう。
「大丈夫そうだな」
顔だけ出して外を見続けるも動く気配はゾンビしか居ない。
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