ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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現実.35

公開日時: 2020年11月16日(月) 07:42
文字数:773

  結局、やる事がない夜と同じように、明るくなるまで充電しながらゾンビを眺める。


  ゾンビは何らかの法則性があるはずだ。と注意しながら見るのだが、サッパリ分からない。目標を定めたらほぼまっすぐに進む。だが逃げようとする時はきちんと迂回をする。

 夜でも強い相手には逃げようとする。俺から逃げようとするゾンビの逃げ道を塞いだ事がある。扉のないトイレの一つに閉じ込めて、入り口に俺が立ってみた。攻撃は絶対にしてこない。俺に触ろうともしない。ゾンビは周りを掴み破壊して逃げようとする。思い切り叩いたりはしない。はめ板を押したり掴もうとしたり、引っ掻いたりするだけだった。


  そのうちピタリと動かなくなる。まるで擬死行為。死んだふりをする。触っても動かない。そのうち力を抜いたのか、その場で崩れ倒れる。俺が離れると数分後には起きだし動き出す。倒れてもずっとそばに居たらどうなるか分からない。そこまで時間をかけた事がない。


  あれから三度、病院や研究所、大学病院を見かけたが、一切近寄らなかった。どう考えても、俺は研究されてしまう。俺はもっと明確なゾンビの生態を知りたいのだが、危険があり過ぎる。

  幸いにも志織は今まで一度も病気や怪我をしなかった。寝不足で昼も夜も寝続けた事は何度かあったが、健康だった。しいてあげるならば生理がこない。肌が乾燥して多分、普通の女の子より硬い。あと、あまり身体的に成長してないような気がする。精神的には昔と比べたらずいぶんと明るくなり、実用的でない話もするようになったが、それは余裕が出来たからだ。退屈だから無為な会話が出来る。必死な時は退屈という言葉は無縁。


  三浦家の子供達と遊んでる志織は普通の少女だった。中学生なのに小学生と遊んでるのが楽しいそうに見える。それは知能的にはどうなのだろう?と考えるのは考え過ぎなのか?


だんだんと空が明るくなる。


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