ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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現実.112

公開日時: 2021年3月19日(金) 08:44
文字数:953

久しぶりに一人きりになる。三浦家以来か?大きく深呼吸をする。

俺の武器が出来た事が本当に嬉しい。

ポピュレーターより視力が高い。目がいい。この利点を狙撃以外にも何か使えるかを考える。


双眼鏡で辺りを見渡すが、すぐに外した。ポピュレーターを見つけるなら裸眼の方がいい。発光してるからだ。

視野を広めて神経を張る。視界に動くのがあれば気付くように。


静かな時間が過ぎる。はたして俺と三人のパペットをわざわざ狙いに来るだろうか。でも先程四人が来ていた。隠れる為に来たのか。俺達を狙って来たのか。たまたま見つけたのか。


志織達は速く走っても時速三十キロも出ないだろう。二十キロで一時間ちょっと。ここから約二十キロ先でもう志織達は戦っている。すぐ近くではないが遠くもない距離。


サブマシンガンやグレネードランチャー。手榴弾。戦車。火炎放射機があるなら、志織達はどうやって生き延びるのか?


日本を思い出す。日本は平和だ。よほどの事がない限り強力な武器は手に入らない。

つい一週間前は日本でノンビリと旅をしていた。一気に違うジャンルの映画へ入った気分になる。


夢の中の夢とさえ思う。近くで小鳥のさえずり。遠くからかすかに波の音。平和な日本の海岸にいる錯覚を覚える。


転がってるポピュレーター。見た目は血の気のない人間の死体。慣れてしまった。禍々しい銃や手榴弾。殺し合い。おそらくそれも当たり前になるのだろう。


独りの時間。色々な思考が浮かび交差する。次々に変わる現実のスピードについていくだけで精一杯。


このまま何事もなく一年が過ぎ去ればいい。一年。短いようで長い。左腕に汚れが溜まってきている。志織はどの部位に汚れが溜まるのだろうか。

志織はポピュレーターを摂取できるのか?

と、様々な想いや考えが次々と浮かぶ。


一番最初に考えるべき事。この場所をより安全にする。

見渡す限り、膝下位の草が生えている。高い木はない。地面は水を吸って柔らかい。湿地帯。穴は掘りやすいが崩れる。


ワイヤーの罠を張るのは難しい。落とし穴も無意味だし、むしろ狙いにくくなる。手榴弾の罠を作るべきか。


小屋の後ろに行ってみる。思い切り飛べば海に飛び込める。

とりあえず空の鉄箱を持ち出し、膝位の高さに並べる。弾除けのバリケード。うつ伏せになり隙間からライフルを構えてみる。悪くはない。

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