ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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現実.153

公開日時: 2021年4月24日(土) 08:44
文字数:1,006

「支配するにはパーティクルで固めるんだろ?多分、志織から固めて弱い俺は固めずに殺すと思う。その時に俺が意識を失えば俺の身体を志織が動かせるんじゃないか?」

小さいアリが実は人間に匹敵する力があるとは思わない。その隙を狙う。というよりそこしか穴はない。

「意識を失うのは簡単。脳に届く所に針を仕込んでおけばいいんだ。チャンスの時に脳に刺せば」

俺は志織のスポークに目を動かして言った。意識を無くすには脳を傷付けるのが一番早い。


「思考まで支配するかな?」

もし俺の身体で志織が戦えたとしても、まだ可能性は低い。

「私もパーティクルで抵抗するから時間は取れる」

志織の賛同。薄いが勝機が産まれた。

「もう一つは?」

俺は聞いた。

「可能性は凄く低いけどエイが来るかも」

志織の言葉。

「何しに?」

「本当にエイとは友達なの。エイはパーティクルを勝手に吸い取るのよ。吸い取りたくなない相手でもね」

「でもそれじゃあ、エイが来たら志織も吸われてダメになるんじゃ」

俺の質問。

「少しの時間なら私のパーティクルで防げるわ」

「志織に逢いに来るのか」

「分からないわ。でも孤独の辛さはエイが一番よく知ってる」

カーリーになれば強い。ただ近くに誰も近寄れない。

「とにかくダビデに合流しよう。話しあって。それからだ」


走る事もなく二人トボトボと歩く。家や建物は見えない。標識もない。壊れた車が唯一アメリカにいるんだと認識出来る。


「肉体は強くはならないんだよね?」

思考を現実に戻す為に俺は質問する。志織はうなづく。

ポピュレーターも人間と同じ身体。思い切り鉄を叩けば拳が砕ける。関節が折れる。力の抜き方や衝撃を分散して最大限のパワーを引き出す。多少傷付いたとしてもすぐに修復出来るギリギリのパワーを。


パーティクルを吸収すればするほど肉や骨が強くなるわけではない。

「反射速度も変わらないよね?」

質問に志織はうなづく。近い距離で銃を撃てば避けられない。避けられるのはパーティクルの動きと体験からの予測からだ。

「ここで撃てば当たる?」

俺は右手を銃に見立てて志織の後頭部を指差す。志織はうなづく。

「でも、そこまで銃をもっていけない」

銃を向ける前に倒される。って事か。

「どれくらい目が悪いんだろうか?」

志織は俺の言葉に立ち止まる。

「たとえば、固定した細いワイヤーを仕掛けとけば分からないんじゃないかな?」

パーティクルの動きで動いてる。動きが無いものにはさほど分からないと言っていた。

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