ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
sadojam

現実.124

公開日時: 2021年4月1日(木) 08:38
文字数:858

トニに狙撃を見せたいが、そんな時に限ってなかなか敵は現れない。俺は空き缶からどんどん離れて狙撃する練習をしている。


ダビデが俺に高性能のライフルを渡しに待たせたヤツが来てない。トニと二人で跡地に向かう。トニはパルも一緒に。と誘ったがダビデのパペットを残しとくわけにはいかない。とパルは行かず。


都市に入る前からトニの雰囲気がかわる。落ち着きながらも始終周りを見渡す。緊張感が伝わる。

パルはそんな事はなかった。俺が気付かなかっただけかもしれない。俺も用心深く警戒する。


大きなマンションの中に二人いる。とトニは言った。動きが止まった。俺達に気付いてる。と敵の居場所を教えてくれる。

俺は直接でないと発光は分からない。


「降りて来るぞ」

のトニの声で俺はスコープで入り口を見る。

「二階だ。左から三つめ目。小さな窓」

三つ目の窓。多分、階段の窓だろう。その窓に焦点を当てる。

ゆっくり覗くはずだ。顔半分だけ出す。そう予想し、標準を窓の右隅に定める。最初から顔を出さないかもしれない。色々想定する。


「階段降りてきてる」

トニの言葉に俺は標準に集中する。この距離なら当たる。

ヘルメットが見え、額、目、鼻が見えた。俺は撃つ。顔のど真ん中、鼻に当たる。

「スゲーな」

トニは言った。もう一人いる。スコープから目を離さない。

「しゃがんでるぞ」

トニが説明してくれる。

「あ、回収しやがった。這いつくばりながら階段を降りてる。逃げてるな。どうする?追うか?」

俺はスコープから顔を離した。

「当たって良かった」

俺は言った。回収したという事は松果体に当たったって事。生き残った方は窓を覗いていない。敵が何人か分からないから逃げるだろう。


「もっと近くから撃てない?」

遠くからではなく近くから?

「もちろん撃てるよ」

俺は答えた。遠くからなら分かるが何故?

「せっかく倒しても回収出来ないじゃん。次から俺が近づいて囮になるから、それからにしてくれよな。

「分かった」

俺は答えて弾を詰めた。身を守る為に殺すのではなく、パーティクルを奪う為に殺す。


ポピュレーターと俺の大きな違いだ。

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート