ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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現実.137

公開日時: 2021年4月8日(木) 08:53
文字数:867

空が暗くなり始める。裏通りの道に並んでるビルの屋上から屋上へ、つたいながら激戦区へ向かう。

俺が居ようか居まいが殺し合いは途切れる事なく続いてる。


無色のポピュレーターが多く見られるようになる。混ざり合ってカラフルだったパーティクルは三色と無色に。赤色は少なくなってるがまだ健在だ。ダビデは生きてる。後は暗い青と濃い紫色。

人間の感覚なら逃げるのが当たり前だが、無色のポピュレーター達は操られてるかのように構わず戦う。むしろ自ら殺されにいってるかのようにすら思える。

そもそも死ぬ事は恐れていないのかもしれない。この世界は夢の世界なのかもしれない。

AZの中の世界が元の世界、現実なのかもしれない。

俺も夢の世界が夢だと分かっていたら、殺されても構わないと思う。死んでも恐怖は無い。

味方はけっこうバラバラに戦っている。一人で多人数を相手に。ほとんどが剣だ。鉄の棒を平らにし先端を尖らせたお手製の剣。長いヤリみたいな方が殺される可能性は低いはずなのに。と思いながら観戦。

攻撃を避けたりかわしてから、突き刺したり切ったり。先に手を出した方が傷つき殺されていく。

誰も落ちてる石や車の破片を投げない。思い切り投げれば殺傷力はあるはずなのに。

強いポピュレーターは相手の武器を使うのが上手い。倒れ崩れてく相手の武器を手に取り、すぐさま他の相手に使う。

明らかに自分より格上なのに向かっていくポピュレーターが多い。いや、ほとんどだ。勇敢とは言えない。無謀だ。

聞いてみたいと思う。何故、強いと分かっててる相手を殺しにいくのか?と。多分、パーティクルを回収する為に。と答えるだろう。

それ以外に考えられない。


一際大きく空気の色が変わる。強いポピュレーターが殺されたのだ。赤色のパーティクルが霧散していく。味方が殺された。


パルかトニか?と思い目を細める。違った。何度か見かけたポピュレーター。近くのポピュレーター達が回収しに近寄る。回収しながら殺しあう。

たくさんのパーティクルを持ってるのは強いから。その強いポピュレーターを殺した相手はもっと強い。それでも回収しに行く。

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