ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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現実.64

公開日時: 2021年1月4日(月) 07:56
文字数:1,005

  ヨウジ君と話をしながら帰る。

三浦家に変わった人はいるか、それとなく聞く。ヨウジ君は、誰も普通の人だと答える。変な人はいなかったか?とも聞くが、信長さん位だと。

  志織に聞いた方が早い気がして、この話を終わらす。


  ヨウジ君はあまり自分の事を話さない。だからなのか、俺の事を知りたがってるのに聞こうとしない。

  俺の何が知りたい?と言ってみたが、別に大丈夫です。と答える。その割によく俺の顔を見る。コンテナハウスが見えてくる道路で俺は包帯を顔に巻いた。

「黙っててくれてありがとう。今日は大変だったね。ゆっくり休んで」と俺は言った。ずっと居られても困る。たくさん考える事がある。ヨウジ君は何か物足りなさそうだったが、大人しく帰ってく。

  志織は当分ここに居るという。それまでに無線機と発電機を手に入れたい。ただ、そこまでして知りたい事なのか?自問自答する。やりたい事をやるのはリスクが伴う。危険を冒してまで知りたいのか?


知ってどうなる?今まで知らなくても生きていけた。

  仲間が欲しいのか?確かにずっと孤独というか、皆と同じではない。という思いは強い。ゾンビでもない。人間でもない。ある意味、別の生き物。


  元々、独りの方が気楽だったが、それは皆と同じだから独りになりたい。という気持ちから。つまり独りに飽きたら戻れる保証があったから。

  今は孤独に飽きても孤独のまま。普段は大丈夫なのだが、負の感情や気が弱くなると孤独感は重くのしかかる。


  諦めが早い。適応力がある。だが弱気の時の孤独感はいくら経っても慣れない。なんとか自分を誤魔化してるだけ。一晩でも、ぐっすり寝れば治ると思うが、俺は寝れない。考える時間がタップリあるのも考えものだ。何かに夢中になる。没頭出来る事があればいいのだが。


  信長の事を考えたり、志織はどういう小説を書こうとするのか考えたりする。なるべく、タオとかの事は考えないようにする。


  志織にタオとシェーリーの話をした時、志織の態度に違和感は感じなかった。いつもと同じように黙って聞いてるだけ。


  左腕が完全に治ってた。木にジャンプして登る。身体を動かし、その動きに慣れておこうと思った。

  やるべき事を見つけた。

  木から木へ飛び移る。木を掴めず落ちる。背中をしこたま打つ。慣れたら落ちても大丈夫になるはず。怪我はしない。しても治る。すぐには慣れない。何回もやって慣れてくしかない。


  時間はたくさんある。痛さも疲れもない。俺はまた木に登る。


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