志織はカーリーになってはいなかった。なので、ダビデの箱は俺が持っている。一キロ離れた先に志織が居る。
海に破棄しようとしたが、なんか可哀想な気がしたからだ。
志織は俺の思いを受け入れてくれた。今までのカーリーにも動けないカーリーがいて、ピラミッドの地下奥にも存在してる。と言っていた。
バミューダ海域の魔のトライアングルもそうかも。と志織は言った。
ダビデの箱を背負いながら一人歩く。でも一キロ先に志織がいる。一人だけど一人ではない。
俺はある意味無敵になった。ダビデの箱を持ってる限り。誰も近寄れない。分かる場所に埋めようと思う。何処に埋めたらいいか考える。考える時間はいくらでもある。
荒れ果てた道路や看板。朽ち果てている家屋。何十年後には、どこもかしこも綺麗に変わってるだろう。
変わらないのは俺と志織だけ。そしてカーリー。ダビデ。
審判のトキを迎えたのは一ヶ月くらい後の夜。多分七時くらい。ボストンの島にある志織の家。
志織からパーティクルが空高く立ち昇ってくのが分かる。ここから陸は見えないが他のポピュレーター達も同じだろう。
世界が数十秒明るくなり、再び暗くなりオーロラが世界を覆う。
いつかはこのオーロラも消え、また人間が世界を支配するだろう。
誰が地球を支配しようが構わない。志織がそばにさえ居てくれたら。俺はメガネを外し志織を見た。
志織は笑ってた。
この笑顔で俺は幸せだ。
〜終わり〜
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