ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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現実.123

公開日時: 2021年3月30日(火) 07:58
文字数:987

やられた。とトニのパペットが小屋から出て来て言った。


これで志織と連絡を取れるのはダビデのパペットしかいない。だがダビデのパペットはよほどの事がない限り動かない。摂取も最低限しか摂っていない。


あとどれ位続くのかと聞くと、あと半年か、半年切った位だろう。とパルが答えた。他にもトニが他のポピュレーターから聞いた話を教えてくれる。


アジアはエイが統率していて、中近東とアフリカ大陸はカニが。南米大陸をバイが。

アメリカ大陸とヨーロッパ地方及びアジア地方の上部が空いている。そしてダビデがアメリカ統率を狙っている。

そんな話から始まりパルは色々と話をする。

ダビデの仲間は増えてるが、審判が近くなれば、ダビデは仲間を喰う。

カーリーになるにはそれだけのパーティクルを集めなければならない。

志織の話題が全く出なかったので俺は観念して聞いた。

「志織は?」

「最初に質問しろよ」

とトニは笑って言った。トニは志織の話をわざと言わなかったのだ。


志織は淡々とパーティクルを集めてる。ダビデと同じほとんど喋らないから辛かったぜ。とトニは言った。


「今回は後方で闘ってるな。ダビデが先頭だ。パーティクルの回収は早い者勝ちだからな。危険な分見返りも高い」

「志織はどうやって戦うの?」

「ナイフとかだな。前はパペット使いだったが今回は独りだから」

「パペット使いって?」

「自分のパペットとのコンビネーションが抜群に上手かった。死角がないとは正にあの事だ」

思い出したようにうなづきながらトニは言う。

「まぁあの人数だ。滅多に死にはしないと思う」

「トニはどうやって…」

と俺は言いかけたが失礼にあたると思い言い止めた。

「どうやって倒されたか?か。普通に流れ弾が運悪く当たってお終いさ」

トニは気付き簡単に答えた。

「悔しくないの?」

「まぁしょうがないさ。こればっかりは仕方ないって割り切るしかない。まだ生きてるしな」

トニの本心を読もうと顔を見たが分からなかった。志織は死んだら終わりだ。代わりは無い。


「俺も行くよ。志織は大丈夫だとは思う。思うがやはり…」

「運が悪けば死ぬかもか」

トニが俺の続く言葉を言った。俺は神妙にうなづく。


「遠くから支援する事は出来る。敵を見かけたらトニに見せられる」

俺は言った。トニに狙撃を見せたい。俺も戦力になる事を知ってもらいたい。俺の狙撃が有利なのをパルが言ってくれたが、聞くのと観るのとでは大きく違う。

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