ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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志織の小説.2

公開日時: 2021年1月24日(日) 08:43
文字数:1,305

ヒロが探索しに行ったが、突然ヒロと繋がる。ヒロの意識がない。

  どうやら落ちてきた人間の死体とぶつかったみたいで遺体がヒロの身体にかぶさっている。

  ヒロの身体からこぼれて霧散していく私のパーティクルを集め戻す。


  ヒロの意識が戻るまで私が動かす。被さっていた遺体に、ところかまわず噛みちぎり呑み込む。ヒロが意識を取り戻し私の意識は途切れてしまったが、もう大丈夫だろう。


  このまま眠るワケにもいかないのでヒロの帰りを待つ。表には脳硬化した人間がうろついている。ヒロはソレをゾンビと呼んでいたがちょっと違う。

  でもアレをゾンビと呼ぶのはどの時代でも変わらない。


  空中にたくさんのパーティクルが漂っている。これを回収するのに何年かかるだろうか。

  空ではアイポが今頃になって見えた。凄い勢いで向こうに去っていく。こっちを全く意識しなかった。

  アイポはアイポで忙しいのだろうが、それは私の知った事ではない。


  ヒロが部屋へ戻って来た。手と声が戻ったと喜んでいる。私を驚かせないように話してる。私は適度に相づち。それよりもう少し慎重に行動して欲しいと思ったが、今の彼では仕方ない。


  次の日もヒロの意識が消えて私と繋がった。しかも、かなりパーティクルがこぼれてる。脳をやられてた。既にヒロの身体は何体かのゾンビに喰べられている。

  慎重にパーティクルを集めたが全部は集められず、この量ではヒロの身体は使えない。身体の小さな人間を探す。ヒロを喰べてる女性の個体。弱体するが仕方ない。かろうじて動かせる手で女をヒロの頭まで引きずりあげてヒロのあご先に口を持っていく。

  ヒロの意識が戻り私の意識は戻る。私の身体中が関節が痛かった。どうやら知らずに力が入っていたらしい。立ち上がり伸びをした。硬直してた筋肉や神経が解けてく感触が気持ち良かった。


  ヒロが私の所へ戻ってくる。女の身体になった。と不思議がるも彼はその現実を受け入れていた。普通なら拒絶反応か思考停止するはずなのに。

  私は女の身体を触ってみたかった。触る。私もこんな感触だったのね。と思った。


ヒロは、自分の身体を調べ始める。じれったくて全てを教えたくなるが、ヒロがその事実に耐え切れるか分からない。教えたりして自殺でもしたら困るのは私。私を守る事だけを辞めなければいい。


  ヒロは気付いた事を次々と教えてくれた。私が退屈しないようゲーム機を探してくれた。私を丁寧に扱ってくれてる。

  これは私のパーティクルのせいなのか、ヒロ自身の気持ちからか、女性個体からの母性本能からなのかは、まだ選別不能。


  私は目を開けながら眠る。だから本を読むフリをしながら回収をする。


  どんな食べ事でも美味しかった。喉越しも、満腹になる事も。水の冷たさも心地良い。排泄すら感動を感じる。

全てが久しぶり過ぎて涙が出そうになる。


  ヒロはパーティクルが見えると言った。その識別を強弱センサーと名付けた。なるほど、パーティクルの量の多さ少なさを、強さ弱さと認識するんだな。新たな発見で私は笑った。


  ヒロが物資集めに行き、私は部屋で待機。心配でついていきたいが私自身も守らなければならない。それに回収も。


  ヒロと私、どちらのパーティクルが消散しても意味がない。


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