ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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現実.141

公開日時: 2021年4月12日(月) 08:45
文字数:1,185

俺は二階建ての民家の屋根に登り、逃走経路を探す。既に癖になってしまってる。

一人ならまだしも四人。誰もが慣れた手つきで剣を持っている。青色の発光。一人だけ強い光。俺一人に四人来るのか?一瞬だけ何かの罠かと思う。だが味方は誰も助けに来ない。

志織を意識して一応戦う事を選択。足元の小石を掴めるだけ掴み、思い切り投げつける。避けられる。


俺は無意識に逃走経路を走っていた。逃げる時は振り返らない。

志織に近付きたい。だが志織に無様な格好は恥ずかしい。それで五、六人いる味方の所へ走る。背中に何かが刺さったのが分かる。貫通して胸元から剣先が見えるがかまわず逃げる。仲間のいる中に走り込む。

仲間を殺そうとしていた違う敵に肩から胸までを斬りつけられる。片腕が皮一枚でぶら下がる。脇の下胸にも違和感。

視界に四人組。仲間が二人殺されるのを見る。一目見て分かる強さだった。俺を斬った敵が四人組に向かってく。だが倒される。四人組が俺の方へ。

どうする?また意識を失うか?剣を拾い自分の頭に突き刺そうと思った瞬間、四人組の二人の頭が飛ぶ。そのうちの一人の胴体が残った二人に飛んできた。一人に当たりよろける。投げつけたのは志織だった。志織が倒した。

志織はよろけた男を走り抜け様に倒す。残りの一人が向きを変え志織に反撃する。

志織は相手の刺してきた剣を剣で軽く交わしそのまま相手の口の中に突き刺す。突き刺した剣を空へ突き上げる。敵の頭部が二つに別れ崩れ倒れた。頭のない胴体が倒れた向こうに志織。


素早い動き以上に素早い動きだった。


「そろそろ辞めようか?」

志織はボソッと言った。


言って欲しかった言葉。言われたくなかった言葉。鋭くはないがジワジワと染みる痛さの言葉。だが俺が志織の立場でも同じ事を言うだろう。

志織は俺の為に回収を辞めるのだ。独りにさせたくない。一緒にいたい。その二つを叶えるのは二人して激戦区から離れるしかない。


いや、もう一つある。俺が強くなる事。


俺は志織の問いに答えず質問した。

「どうやったら俺は強くなれる?せめて自分の身を守れるくらいに」

「自分のパーティクルを利用してる?」

志織も質問で返した。答えに通じる質問だと思う。だから考えてると志織が後ろに剣を振った。剣は何かにぶつかった。鉄の塊。背後から投げつけられた。それを志織は後ろを見ずに剣で防いだ。それから志織は手をウチワのように振った。

「パーティクルが分かる?」

俺は首を振る。明るく赤い発光してるしか分からない。

「タバコの煙のようなのを感じないかな?私は…ダビデとかもそうだけど、細かに感じ取れるのよ」

視覚以外で感じ取れてるのか。

「どこまで?」

「私はかなり分かるわ。パーティクルを吸収すればする程、細かく広い所まで」

「後ろから三人。真ん中は剣を持ってる」

俺は志織の後ろを見る。確かにその通りだった。走って来ている。


俺は見ないと分からない。

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