ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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現実.108

公開日時: 2021年3月15日(月) 08:46
文字数:795

岸に上がるとすぐにダビデのパペットが言う。

「着替えに行く」

そしてすぐ、びしょ濡れの俺の背中に乗った。ダビデのパペットの力が抜けたので俺は慌てて支える。

多分、俺の自己嫌悪を見抜いての事。間が空くと絶対に気分が沈む。考えさせない為にすぐ行動させる。ダビデに見抜かれた。俺の深読み、見当違いかもしれないが、少なくとも冷静にはなれた。


パペットの発光は薄いがシェーリーのトニやパル、志織は明るい。居場所は遠くから丸分かり。隠れても無駄な事は分かっている。

近くで小刻みな発砲音。俺は反射的に身体を低くする。

「この辺りは大丈夫だ」

パルが言ったが、誰かれなくとも走り出した。俺は自分の利点を考えながら、志織達の後をついて行く。


やるべき事を考える。


まず俺の発光は凄く暗い。人間とほとんど変わらない明るさ。トニの言った言葉を信じる。


暗闇で服装を変えたら人間だと勘違いされる可能性が高い。明るい所だとまず分からない。他には…。


他の利点が思い浮かばない。


波がかかる岩壁を皆、軽々と進む。波しぶきを浴びながら沿ってくと洞窟があり、中へ進む。志織達が明るいので懐中電灯とかは要らない。

急な勾配を登ると敷板があり開ける。小さな納屋に出た。

既に到達しているポピュレーター達。部屋の半分は段ボールと木箱で占領されている。箱の中は銃。靴。革手袋。ナイフ。戦闘に必要な物が詰め込んであった。


志織も濡れた服を脱ぎ始めた。お椀型の凛と張った乳房が目に入った。すぐに目をそらし、不自然にならないように下に置いた服を取りそのまま後ろを向く。


俺の前で裸になった事は今までに一度もない。トニもパルも一向に気にしないので、俺は意識を志織に向かないように着替える。

ダビデのパペットも平気で脱ぎ始め、着替え出した。


俺に性的興奮は無いのだが、気恥ずかしさは感じる。これから生死がかかってるから興奮してるのか?そんな事を思いながら靴紐をきつく縛った。

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