ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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現実.107

公開日時: 2021年3月14日(日) 08:48
文字数:823

まだ海上だが、遠くで灯りが見えてた。火の手が上がって明るい。かなり大きい範囲の火事。


パラシュートとナイフ。と言われ、ナイフとリュックを渡される。パラシュートなんてやった事ない。パルが皆が開いたのを見たら、ここを引っ張れる。と教えてくれる。


パルがダビデのパペットを抱え「焦らなければ大丈夫」と言って躊躇なく飛び降りた。


何度も着陸の時を想像する。映画や漫画で観た着陸の場面を思い出す。

下を見下ろす。風圧が思ってた以上に凄かった。下は海。オーロラが反射してる以外、何にも見えない。

「海に着陸したら少しの間、その場から動くなよ。後から降りてくるヤツにぶつかるからな」

トニの大声の忠告。すでに次々と飛び降りている。

「行け」

ダビデの声に俺は飛び降りる。想像してた以上の降下速度と風の音。そして高さが全く分からない。先に飛び出したポピュレーターのパラシュートはまだ開いていない。

思わずヒモに手をかけた。開きたくなるのを我慢する。

上向きになり下が見えなくなる。慌ててさらにバランスを崩しクルクルと視野が回る。


自分がどんな状態か分からない。下に感触。誰かの開いたパラシュートに当たったと分かった。俺は紐を引く。身体が一気に上昇する。


降下スピードが格段に落ちる。上下の感覚が戻りため息を吐く。だが今度は思った以上に横に流されてく。舵取りが分からない。他のポピュレーターから離れてくのが分かる。

海外の火事の灯りが分かるだけでも助かる。だがどこまで離れてくのか分からない。慌てだし始めた頃に海水に浸かる。

パラシュートに包まれながら沈んでくのが分かる。ヒモが身体のあちこちに巻き付く。それでナイフか。と気付く。ナイフで肩紐を切り背中のパラシュートリュックを外す。


海面に顔を出せた。海岸を探し位置を確認する。海岸が視野に入り深くため息を吐いた。急いで泳ぐ。ナイフを落とす。

体力の疲れはないのが救い。志織とパルとトニ、ダビデのパペットが岸で待っていてくれた。他には誰も居ない。

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