ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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現実.129

公開日時: 2021年4月5日(月) 19:16
文字数:594

「助かったよ」

トニとパルが俺に礼を言った。俺も、助かった。と答える。俺一人なら殺されていた。

「頭を狙えなかったら手か足を狙った方がいいよね?」

俺は確認の為に言った。

「刃物使いなら手や腕を。大きなヤツなら足の方がいい」

パルが言った。俺はうなづく。

「銃を持っていたら?」

「なるべく手を。銃でもいい。撃てなくさえすればなんとかなる。もちろん頭部を狙えればそれにこした事はないな」

パルの言葉に俺はうなづく。俺もそうだが、銃を持ってる人は格闘に自信がない。殺されないように離れて倒したいからだ。パーティクルを回収出来ないから損な役回りかもしれない。


「しかし、この人数で俺達を襲うかね?」

トニは強がりとは思えないセリフを言った。十人で二人や三人のパーティクルを回収する。簡単に倒せると思ったのか、手慣らしの為に襲ったのか。

答えは分からない。だが俺の本格的な初戦闘。


慌てる事なく上手く立ち回れたと思ってる。それでもたまたま上手くいっただけだとも思う。万が一、当たっていたら。万が一、トニやパルが殺されたら。万が一…色々な未来が浮かぶ。


「とにかく生き延びた」

トニがフォローするように言った。

「今無事に生きている。それが肝心」

パルも気遣ってくれる。そう。もしも話を考えても無駄だ。


「銃を探そう。いちいちポルプアクションしてたら効率が悪い」

トニが言う。俺達は遺体を漁りながら向かう。まだ銃声は聞こえてこない。

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