俺はため息を吐いた。肉体的な疲れはないのだが、精神的な疲れは感じるのだ。
入り口に机などでバリケードを作りイスに座り、左腕が再生されるのを待つ。一時間ほどで左腕が再生される。
いつも通り。これで大丈夫なはず。身体を綺麗にする。制服を着る。かなりキツかった。上がって来てるゾンビは階段を降りている。俺はゾンビを分け入りながら降り、とりあえず近くのドアが開いてる民家に入る。普段なら、開いてる家はめぼしい物がないから入らないのだが、服くらいならあるはず。ガウンしかなかった。それに着替える。
あと三十分で昼。結局、摂取しただけで戻るハメになった。途中、放置してある車を覗くが何もない。
地下の駐車場でポルシェを探す。鍵が合い車内を物色。携帯電話があった。車内充電器もある。エンジンをかける。かかった。ガソリンもある。エンジン音が大きく響く。止める。香水があったのでかける。サングラス。地図。これも助かる。他にも車が並んでる。午後から一台ずつ探そうと考えた。
部屋に戻る。久しぶりに三三七拍子のノック。志織は開けてくれた。志織はネックレスや指輪をたくさん付けていた。
殴る時に使えるな。と俺は言った。志織は、殴る時は外すわよ。と言った。本気か冗談か分からなかった。
最上階の部屋で靴を取り替え、ため息を一つ吐いた。俺はゾンビを少し軽くみていた。無事だったから良かったものの、下手したら喰べられていたかもしれない。武器も持たずに探しにいくのは軽率だった。荷物を持つのに邪魔かもしれないという気持ちから手ぶらで出掛けた。ポケットにもたくさん詰める時もあるから。それに汚れや志織を気にしてギリギリまで摂取しないのも軽率だった。
甘かった。最低限の緊張感というか危機感は必要。頭に刻み込む。
階段や廊下に誰か来たら分かるように白いシーツを敷く。一階に降りて、入り口に鍵はかかっているがバリケードを作る。警備室から見つけた鍵の何個は、電気室やダストボックス。何もない。消化散水の扉の鍵。水は出なかった。そして地下の駐車場へ通じるドアの鍵。外に出て気を付けながら家探しを始めた。誰かが貯めていた水を見つけた。十八リットルポリ容器が五つ。一度に持っていけるが、二回に分けて持ち帰る。無理をしない。面倒くさがらない。
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