「き、き、綺麗です」
ヨウジ君の言葉。確かに汚れてないと白い肌は綺麗かもしれない。それにこの身体は、ガタイは良くないが、しなやかな筋肉。余計な贅肉がない。
下半身。俺の股間、生殖器は無い。肌に陰毛が生えてるだけ。女の時もそうだった。排泄も繁殖も必要ないからだと思ってる。いつ無くなったかは分からない。多分、傷が治るように、取れたか、もしくは体内に埋まったかのどちらか。
「ご、ごめんなさい」
ヨウジ君が謝って我に返る。俺が変な事を考えてた無言の時間を、ヨウジ君は俺が怒ったのかと勘違いしたのだろう。
「俺もたまに綺麗だと思うよ」
あまり気の利いた返事は出来なかった。
「ちょっと待っててね。出来ればコンビニで待っててくれると嬉しいんだが」
俺は言う。まだ摂取出来てないし、見せ物になってるみたいでイヤだった。ヨウジ君は謝ってコンビニに戻る。
俺は急いで摂取し身体を洗う。まだ左腕から血が出てるので、上半身は裸のまま。コンビニに戻る。
「お待たせ。話って何?」
ヨウジ君は俺の上半身に見入る。珍しいのか、ヨウジ君はゲイだからか?
多分、両方。俺はヨウジ君が我に返るまで黙ってた。ヨウジ君はすぐに我に返る。
「あ、あのですね。ぼ、僕、無線やってたんです。そ、それでですね。ヒロ君みたいな人が他にもいるみたいなんです」
「本当に?」
思わずのめり込む。ヨウジ君は少したじろいだが話を続けてくれた。
「僕はウソだと思ってたんです。ヒ、ヒロ君を見て思い出したんです。そ、その人は真っ黒いマントみたいなのを頭から、か、かぶってて、凄い速さで走り…で、電柱を登ると電線を渡り走ってたと」
「それで?」
「い、いや、それだけです。あっと言う間に遠くに行ったそうです」
[他には?]
「そ、それだけです。ウ、ウソだと思ってたから」
「無線って使えるの?」
「ぼ、僕のは壊れて使えません。無線機と電気があれば使えると、お、思います」
「無線の相手はけっこういるの?」
「た、多分居ると思います。ただ動力が無いのと、じ、磁場のせいで使える時間が決まってますし、つ、常に不安定なんです」
「警察や自衛隊とかは?」
「そ、それが全く聞こえなかったし、ほ、他の人も聞いた事がないみたいなんです」
「無線やってる人って何人位?」
「わ、分からないです。今まで五人位。そのうち、ふ、二人は外国語でした」
どうやら特殊な周波数帯でしか繋がらず、その無線機械やアンテナも売っておらず自作しないといけないらしい。かなりマニアックでないとその電層での無線は使えないとの事。通信手段がある事よりも、俺みたいな人間が他にも居るのか?の方を知りたかった。
「シェーリーって聞いた事ある」
俺は質問をふいに投げた。ヨウジ君は首を振る。ヨウジ君の反応や態度に違和感は感じない。本当に知らないみたいだ
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