ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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小説.24

公開日時: 2020年10月11日(日) 21:25
文字数:960

  その他も順当に集め回る。人間には出会わなかった。鏡も種類違いのを何枚かリュックへ。バイク屋に寄ったがツナギは無かった。

  左胸がかなり大きくなってるし、摂取しないとならない。少し離れた所から大きな物音と悲鳴。個人経営のカメラ屋の店内から。見つからないよう、すぐ逃げられるように覗く。三体のゾンビに乗っかられていた人間。足がもがいて動いていたが、やがて動かなくなった。近づくと俺はナイフを取り出し喰べているゾンビの首元に次々と刺す。


  足元には四体の遺体。いや、ゾンビ三体はまだ動いてる。通りを見渡す。静か。ゾンビも見あたらない。

  店内奥にある現像室のシンクに水が貯まっていた。俺は人間の遺体を奥の部屋に引きずり鍵をかけた。部屋は真っ黒。何も見えない。死体を見たくない。

  遺体はまだ柔らかかった。何も考えないように、手探りで首を噛み切る。血が大量に溢れ溢れる。首の骨をもぎ噛み付いた。

考えたらダメだ。噛み、千切り、咀嚼し、飲み込む。噛み千切り、噛み砕き、呑み込む。口の中で骨の砕ける音が生々しい。鎖骨やアバラ骨を折る。食べられるだけ食べる。何も考えない。ただ行動する。シンクの水を何度もかぶる。目をつぶったまま部屋から出る。食べ残した遺体も見たくなかった。赤い血は慣れたが、黄色い脂肪の色は気持ちが悪くなる。内臓も気持ち悪い。脳みそは思うだけで気持ち悪くなる。魚の白子と同じだと自分に言い聞かせても脳味噌の赤い血管が邪魔をする。


  いたたまれない気持ちになるのを誤魔化す為に左胸をかきむしる。多分、普通の肉もこそげ落ちてると思うが、かまわなかった。


「生きる為に」

  俺は大声で叫んだ。


  落ち着いてくる。濡れた服。どうせ左胸から血が滲むし、ポケットにも荷物が入ってる。リュックを背負いタオルで乱暴に髪の毛を拭きながら外に出る。


  やるべき事を考える。ゾンビに近付いてみるが襲われなくなったが、逃げはしない。死にたての人間を摂取してもダメみたいだ。ちょっとだけ期待したのだが。


  適当に服を着替える。あとは懐中電灯を探す。本も持って帰ろう。どんな本を選ぶか意外と悩む。最初に決めといた方がいい。持って帰る本を考えながら電気屋と本屋に向かう。アウトドア用品の店は見つからなかった。オフロード用の自転車も欲しいと思う。望遠鏡で探す事にしよう。


  やるべき事はある。


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