ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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小説.42

公開日時: 2020年11月6日(金) 08:26
文字数:864

  多分、志織は寝たようだ。半目を開けているから分からないが身体は動いていない。陽が明るいから発光加減では分からない。

  手紙の内容が気になる。パルキッツァの言葉に東北なまりは無かった。あの病院とどう関係あるのか?デタラメのようだが、デタラメでもなさそう。なら必ず何かしらの接点があるはずだ。その石なんとかが居ない可能性もある。死んでしまってるのかも。

  もし行方が分からない場合は。志織なら探すのか?いや、探さないだろう。病院の誰かに渡して終わり。それから実家に向かう。


  実家にはもう誰も居ないと思い込んでいる。居なかったら俺は逆に安堵するかもしれない。居たら俺はきっと家族の面倒を見なくてはならない。志織の事も。これから先の食料の調達と確保。生産が出来てもゾンビと他の人間から毎日守らなければならない。


  家族を守るのが当たり前。普通。だが俺はナゼか面倒クサイと思っている。この冷めた感情は身体がゾンビだからか?もちろん生きていて欲しい気持ちは強い。生きていて、両親と弟だけで生活していって欲しい。

  俺はゾンビの身体で皆に迷惑かかるから。とまた志織と彷徨う。その方が楽。そうしようかとすら思う。

  家族の死に直面する方が辛い。それで居ない方がいいと思っているのか?こんなに俺は冷たかったっけ?元々、何に対しても希薄だった。欲がないというか、どちらでもいいというか。

  幼い頃も凄く聞きわけのいい子と母から聞いていた。反抗期もなかった。ありのままを受け入れ、そのままで充分だった。つまり執着心より、今その場を流されてきた。

  高校も部活や勉強に夢中な人を見ても何にも思わなかった。羨ましいとも、大変そうだなぁ。とも。ただ受け入れた。ああいう人も居るんだな。と。

  やるべき事はやった。ソツなく、ヘマなく。勉強もそこそこ出来た。運動もマラソンで一位を。という欲もなく遅くもなかった。適度な着順でかまわなかった。恋愛も、気に入った女性は何人かいたが、行動に移さなかった。

それだけ好きではないんだな。と思った位だ。


  今まで一番強く思ったり願ったりしたのは、志織を守る事。


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