ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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現実.28

公開日時: 2020年10月18日(日) 08:34
文字数:547

  携帯電話から目を離す。書いてネガティブな気持ちになった。辺りは真っ暗闇。見慣れた光景。外から見たら俺は暗闇と同化しているだろう。


  この時間を俺は気に入っている。俺も自然の一部なんだと思えるし、俺も自然の一部でいいんだ。とも思えるからだ。ゾンビは人間世界ではジャマな存在。つまり俺は否定されてる存在である。でも自然は必要だからゾンビも俺も生かしてるはず。そう思える。

  携帯電話の小さな明かりが人間社会との繋がり。この程度の繋がりが俺には心地良くなってる。人間との関係は志織だけで充分だ。


  生殖反応は無いから、生きた証が欲しい。記憶ではなく目に見えるナニか。つまり記録で。そんな理由もあり小説を書いている。


  俺の弱さを小説に書いた。書いてしまった。小説だから別に書かなくてもよかった。でも知って欲しかった。誰かに。志織に。読んでくれるだろう人に。


  自叙伝として書きたくなかった。あくまで架空の人物として自分を書きたかった。ゾンビの身体に人間の思考。他に居るのだろうか?

  あの頃よりかははるかに強くなった。でもそれは志織も同じ。他に生き延びた人間も同じ事。


  やるべき事。小説を書き終える。少なくとも今に至るまでの事は書きたい。時間だけはたくさんある。


  ネガティブを現実に持ち込まないように意識しまた小説を書き始める。


読み終わったら、ポイントを付けましょう!

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