ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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現実.15

公開日時: 2020年10月3日(土) 11:44
文字数:850

  コンビニの表側、道路の向こう側から一瞬の光。俺は携帯から目を離す。近くに居るゾンビの動向に目を配る。まだ時間は3時過ぎ。


  ゾンビは夜、人間を襲わない。ごく稀に居るのだが今ではほとんど見かけない。だから人間は夜に行動する。食料などの調達は昼間はやらない。


  俺にとって一番怖いのはゾンビ狩りをする人間だ。夜の襲わないゾンビを殺しに来る。生き延びてきた人間なら誰もがその思考にたどり着く。ゾンビの数を減らしていけばいく程、生存率が上がるからだ。


  聞き耳をたてる。光がチラチラと分かる。やがてゴソゴソと物音。近くの住民なら、このコンビニに無いもない事を知っている。旅人だろうか?話し声は聞こえない。単独であればいいが。


  荷台と荷物はうまく隠してる。よほどくまなく探さないと見つからない。

裏に来られてゾンビのいる車の中まで物色するだろうか。


  車の上に不自然にいる俺を見つけたら。降りるべきか。このまま裏に来ない事を祈るべきか。


  静かに車から降り、ゾンビを道路側に押す。ゾンビを見て裏側に来なければいい。だが、もしゾンビ狩りなら俺は隠れなければいけない。


  三年生き延びてきた人間は知恵や機知に長けている。抜け目がない。体力も精神的にも強い。

  荷物の量を見て、志織の単独行動じゃない事も分かってしまうかもしれない。

  単独行動する人間は人付き合いが苦手な人が多い。すなわち自己中心的か、攻撃性の強い性格。消極的や自分を弱いと思ってる人間は徒党を組む。大勢の人間も怖いが単独行動の人間も意外と怖い。


  ゾンビを積極的に殺す人間が一番厄介。攻撃性快楽からの殺し。もしくは恨みや復讐による殺し。俺にとってはゾンビよりも人間の方を警戒している。


  志織を起こすべきか。若い女の子は弱いからこその強みがある。もちろん強姦などの恐れもあるが。

  志織は最初の頃と違い多少の音では起きない。ゾンビの唸り声を毎晩聞きながら寝なくてはならない。睡眠不足は体調に過敏に反応する。だから寝る時は寝る。特に安全な場所では。


  複数の灯り。さてどうするか悩みながら様子を伺う、


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