ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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小説.5

公開日時: 2020年9月19日(土) 17:39
文字数:851

  防災ドアは鍵をかけずに、近くにあった自販機を引きずり置いた。自販機はバイク位の重さに感じた。俺の力が強くなってるのだと確信。ありがたかった。


  時計は夕方の三時。ゾンビは夜に活発になるのが通説。現実はどうだか分からないが慎重に用心を重ねる。

どこも電気がついていない。いずれ冷蔵庫の食べ物もダメになるだろう。


  やる事はたくさんある。食料と薬、衣類などの生活品の確保。ホテルの全ての部屋のチェック。全ての風呂に水を貯め飲み水の確保。今はまだ四月だが、暖かくなると腐るのが早くなる。


  俺はどうなる?これからどうする?震え上がる程の不安が湧き出る。無関係な疑問を頭から追い出すために、今やるべき事に専念。専念しないと、不安で挫けてしまう。女の子も自分の未来さえもどうでもよくなる。ロボットのように、やる事だけに専念すればいい。


  薬局屋で血が付かないように薬品を片っ端からカゴに入れる。何が必要になるか分からない。


  ガラガラと車輪の音が響く。ゾンビの呻き声。燃えてる音。他には何も聞こえない。人間の悲鳴や助け声は何一つ聞こえない。

  開きっぱなしの車の中に潜りラジオをつける。チャンネルを回すもノイズ音しか聞こえない。


  夜はきっと真っ暗になる。車のライトを次々と点けていく。この灯りで人間が来るかもしれないし、夜中のゾンビの動向を知りたかった。


  やるべき事、考えるべき事は山ほどある。それに夢中になってる間は他のイヤな事を考えずに済む。それでも勝手に浮かび上がるのは家族の事だ。

田舎の山奥に住んでる。きっと大丈夫だろう。銃もあるはずだ。爺さんが猟師だった。父親も使えると聞いていた。自給自足も可能だろう。だから大丈夫だと自分に言い聞かす。不安と心配を頭から追い出す。


  デパートに行く。吹き抜けのテラス。一階にも二階にもゾンビは居る。近くのゾンビは俺を見ると逃げるように離れていく。有難い。

突然、頭に重い物が落ちてきた。強い衝撃。ゾンビか人間か死体か。


  ヤバイ。首から下が全く動かない。意識が遠のくのが分かる。シャレにならない。死ぬのか?


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