ゾンビサバイバル 【比翼の鳥の物語】

終末世界を少女と二人で生き抜くお話(完結)
sadojam
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志織の小説.19

公開日時: 2021年2月16日(火) 08:48
文字数:899

  大地の震えが止む。

「何故お前と友達にならなければならぬ?」

「貴方はずっと独りだったからよ。疑問を返す相手も自分だったから。答えは一つだけじゃないのよ。間違いが正しい時もある。信じたモノが間違いになる時もあるのよ。それを知るには、自分以外の声を聞かないと分からないわ」


「だからAZはたくさんの意識を創りあげたの。私達ポピュレーターをね」


「何故お前は分かるのだ?」


「私がAZだからよ…それはウソよ。ごめんなさいね」

  私の言葉にエイは大きく笑った。しばし笑った後に口を開いた。

「確かにお前の言葉には理がある。それに愉快な気持ちになれたのはいつ以来だ?よかろう。ワシと友達になるのだ。バイに脅されておるのか?友達として助けてやろう」


「ありがとう。でもごめんなさい。それもウソなの。でももう二度と貴方にウソはつかないわ。だって友達だもの」

  私は丁寧にお辞儀をした。エイは声を出さずに喉元で笑う。

「お前の名前は?今までの名前も教えてくれぬか。興味が湧いた」


「今の私はシオリ。前はシリ。そして一番最初の名前は…ユダ」

  私は素直に答えた。

「キリストを操ってたのはお前か」

  エイは驚いて言った。私はうなづく。

「友達にはウソはつかないわ」

  ダビもパルも驚く。

「どういう事?」

  ダビが思った事を口に出す。

「ここに居る人は皆友達。だから素直に答えるね。もちろんトニも友達よ」


「私はユダの記憶を持ってるの」

  私は静かに言った。確かに生きた年月はエイやダビより少ない。だが記憶はエイやダビよりもっと長い。

  私はユダではないが、ユダの経験した事、記憶、感情を持ってた。


「お、俺も友達でいいのか?」

  トニが恐る恐る聞いた。

「えぇ、もちろんよ。私もトニを騙した事があるしね」

  私は笑って言った。


「一つだけでは貴方に聞きたいの。なぜヒロを欲しがるの?」

  私はエイに聞いた。

「この男は一つの身体で無限ともいえる量のパーティクルを保てるのだ」

  エイは言った。

「ヒロの中のパーティクルはAZに吸収されないわけ?」

「人間だからな。しかも死なない」

  エイが答えた。私はやっと納得がいった。


「友達をもっと増やしましょうよ。バイやカニはどう?」

  私は笑って残った爆弾を放った。


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