大地の震えが止む。
「何故お前と友達にならなければならぬ?」
「貴方はずっと独りだったからよ。疑問を返す相手も自分だったから。答えは一つだけじゃないのよ。間違いが正しい時もある。信じたモノが間違いになる時もあるのよ。それを知るには、自分以外の声を聞かないと分からないわ」
「だからAZはたくさんの意識を創りあげたの。私達ポピュレーターをね」
「何故お前は分かるのだ?」
「私がAZだからよ…それはウソよ。ごめんなさいね」
私の言葉にエイは大きく笑った。しばし笑った後に口を開いた。
「確かにお前の言葉には理がある。それに愉快な気持ちになれたのはいつ以来だ?よかろう。ワシと友達になるのだ。バイに脅されておるのか?友達として助けてやろう」
「ありがとう。でもごめんなさい。それもウソなの。でももう二度と貴方にウソはつかないわ。だって友達だもの」
私は丁寧にお辞儀をした。エイは声を出さずに喉元で笑う。
「お前の名前は?今までの名前も教えてくれぬか。興味が湧いた」
「今の私はシオリ。前はシリ。そして一番最初の名前は…ユダ」
私は素直に答えた。
「キリストを操ってたのはお前か」
エイは驚いて言った。私はうなづく。
「友達にはウソはつかないわ」
ダビもパルも驚く。
「どういう事?」
ダビが思った事を口に出す。
「ここに居る人は皆友達。だから素直に答えるね。もちろんトニも友達よ」
「私はユダの記憶を持ってるの」
私は静かに言った。確かに生きた年月はエイやダビより少ない。だが記憶はエイやダビよりもっと長い。
私はユダではないが、ユダの経験した事、記憶、感情を持ってた。
「お、俺も友達でいいのか?」
トニが恐る恐る聞いた。
「えぇ、もちろんよ。私もトニを騙した事があるしね」
私は笑って言った。
「一つだけでは貴方に聞きたいの。なぜヒロを欲しがるの?」
私はエイに聞いた。
「この男は一つの身体で無限ともいえる量のパーティクルを保てるのだ」
エイは言った。
「ヒロの中のパーティクルはAZに吸収されないわけ?」
「人間だからな。しかも死なない」
エイが答えた。私はやっと納得がいった。
「友達をもっと増やしましょうよ。バイやカニはどう?」
私は笑って残った爆弾を放った。
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