10度目の転生なので全部占いに従ってみた

ハシダスガヲ
ハシダスガヲ

第9回 転機

公開日時: 2021年1月31日(日) 19:00
文字数:1,045

私はその日朝早く目が覚めてしまった。

倉橋さんとの待ち合わせの時間まではまだだいぶある。

私は一晩かけて一つの答えを出した。

それを今日倉橋さんに伝えに行くのだ。


昼より少し前、私は喫茶店についた。

店内を見渡すと、すでに倉橋さんが来ていた。

私は彼女の前に座り、アイスコーヒーを注文した。

「遅れちゃったかな?」

「いえ、私が早く来すぎてしまったんです。先輩は時間どおりですよ」

そうこうしているうちにアイスコーヒーが目の前に置かれた。


私は意を決して切り出す。

「あのさ……この間の話なんだけど……」

彼女は落ち着いた表情で私を見つめている。

こんなに緊張するのはいつ以来だろうか。

私はアイスコーヒーを一口飲み、

「ごめん。気になる人がいるんだ……だから、申し訳ないけど倉橋さんの気持ちには答えられない」

彼女は力なくうつむいた。

そこから二人の間に沈黙が流れた。


「……わかりました。気になる人っていうのは昨日の人、ですよね」

「……うん」

「先輩、気にしないでください。初めに言った通り、これで先輩の事はきっぱり諦めます。今までありがとうございました」

彼女は微笑んでいた。しかし目にはうっすらと涙が浮かんでいた。

「あの……」

私が声をかけようとすると、彼女はそれを制止し、「大丈夫です」と言った。

彼女は立ち上がり、私を見つめながら、

「今まで本当にありがとうございました。先輩の事が大好きでした。失礼します」

そう言って彼女は喫茶店を出ていった。

私は一人、アイスコーヒーを飲んだ。


その後、私は喫茶店で時間をつぶし、講座へと向かった。

今日も今日とて、門を開け扉をノックする。

すると着物の月見里さんが出てきた。

「いらっしゃいませ。こちらへどうぞ」と私をいつもの部屋へ導いた。

部屋に置かれた机を挟み向かい合って座る。

「なんだかこの光景も見慣れてきましたね」

彼女は嬉しそうに言う。

「確かにそうですね。毎回楽しみにしてますよ」

「本当ですか!うれしい! ……私も神田さんと会ってから毎日が充実してます。これからもよろしくお願いしますね」

そういう彼女の笑顔はとても可愛らしかった。

「こちらこそ、これからもよろしくお願いします」

「それじゃあ今日は、この間の続きでカー……」

彼女はそこまで言うと、前のめりに倒れてしまった。

私は驚き、声をかける。

「月見里さん、大丈夫ですか?」

彼女はお腹を押さえながら辛そうにうめいている。

「月見里さん!どうしたんですか?月見里さん!」

彼女は苦しそうにするばかりで何も答えられない様子だ。

私は大慌てで救急車を呼んだ。

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