クソがッ、なんでオレがこんなことしなきゃならねェ。なんでこうなった。
なンでいつもうまくいかねェ……。なンでなんだ。
これからだったんだ。これから、これからやっとうまくいくッて時に限ってよぉ。なンでうまくいかねェんだよ。
……生まれてからいつも、こんなんばっかだ。
貴族っつッてもよぉ、持ってる領地は戦地の近く。しかも、戦には負け、いまやカルカヌスなんてとこ、どこにも存在しやしねぇ……。
挙句、どさくさに紛れて反乱を起こされて、使ってたはずの犬に使われる始末。これじゃあよ、再興なんて、夢のまた夢だ。
我ながらマジで救えねェ……。
――いや、それはシモンも同じか……。
オレの人生、全くもって幸福とは言えねぇ……けど、けどよ。お前がいたおかげで、最悪じゃあなかったぜ。
オメェの言うこと聞いてりゃあよ、たまにゃいい思いもできたし、何より今の今まで生きてこれたのは他でもねぇ、シモン、お前のおかげだと俺ぁ思ってるよ。
シモン、お前がいたおかげでよぉ、オレぁ、死なずにすんだんだ……。
シモン、オメェがよ、ここにいりゃあよ、もうちっとマシな状況だったんだろうなぁ。
なのによぉ、なンで残っちまったんだよ。
オメェがいねェとよ、俺ァ、なンもできねェンだよ!
ッ――! クソがよォオ!!
なンで残ッたンだ一人でよォオ!!!!
勝手に、てめぇ一人で……――。クソぉ……、くそがよぉ……。
オレ一人でよぉ! 犬二匹相手にどうしろッてンだよ……!
――クソが、マジで、意味ねぇことしちまったぜ。
なぁシモン、オメェが馬鹿一人野放しにすッから……。オレぁいま、こンなンなッちまったじゃねぇかよ。
クソがよぉ、オレだッてわかッてンだよ! こンなン嫌がらせにもなりゃしねェッてなァア!!
……シモン、オメェが後ろにいりゃあよぉ。犬如き、何匹こようがどッてことねぇのによぉ……。
オレぁどうすりゃあいい、シモン。いつもみてぇにどうすりゃいいか教えてくれよ。
オレぁよぉ、一人じゃあなんも出来やしねェンだよ。
だからよぉ、また二人で――――。
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