あなたは私を蘇らせてくれた

Kay.
Kay.

2

公開日時: 2025年1月23日(木) 10:47
更新日時: 2025年1月23日(木) 12:06
文字数:1,842

ある日の晩、スタンは「レジーズ」で本を読みながら食事とコーヒーを愉しむ。そこに1人の少女が泣きながらパンケーキを食べていた。気になったスタンは話しかけた。


スタン: 大丈夫か?


メイ: ええ。大丈夫よ、仕事でヘマしただけ。ねえ、一緒に食べていい?


スタン: わかった。


メイはパンケーキを持って、スタンと同じテーブルに座る。メイは本について、この前の件について話した。そして個人的なこと。


メイ: 人々は逃ることはできた?


スタン: いいやまだだ、いまその最中だ。


メイ: そう。ポール・ギャリコ好きなの?


スタン: ポール・ギャリコは心惹かれるものばかりだ。初めて読んだ小説だ。君は読むのか?


メイ: 私はほとんど読まない。でもそのポセイドン・アドベンチャーは有名よね。


スタン: そうだな。パンケーキか。


メイ: そう、実は昨日私の誕生日だったの。仕事で夜遅くなったから今日って言う訳。悲しくも誰もお祝いされる事はない。


スタン: それはお祝いだな。ここにはワインやシャンパンはない、また後日ポーチドエッグと一緒に祝ってあげるよ。


メイ: ありがとう。


少し沈黙が続く。その中、メイはタジタジになりつつも勢いをつけて話をする。


メイ: あのね! この前はありがとう。


スタン: この前?


メイ: 送ってくれたでしょ。お礼言えてなかったから。


スタン: それはいいんだ。それより仕事大丈夫か?


メイ: 大丈夫よ、もうそろそろいくわね。


そういうとメイはその場を離れた。なにやら

怪しい車に乗る。付き人のような人がいて、同じ車に乗る。運転はその付き人はするのだろう。なにか悲しい事があったのだろうか。しばらくして本を閉じて、レジーズを後にした。


その何日か過ぎた頃、スタンは仕事から帰り、アパートメントの自分の部屋に行こうとした。階段の近くにレンガの壁がある。そこに新しく壁画を作ろうとしている大家さんが居る。


リッキー: やあ、ガーネットさん。


スタン: リッキー、久しぶりだな。なにをしているんだ?


リッキー: この壁になにか絵を描こうかと思って。見栄えがいいだろ?


スタン: それは絵による。なにを描くつもりだ?


リッキー: そーだな、動物の絵がいい。例えばトラやライオンとか。


スタン: 肉食系ね、ウサギやリスのほうが可愛くなる。トラ、ライオンは怖いイメージだから。でも可愛く描ければ大丈夫。


リッキー: なるほどね! それじゃあ動物園みたいにしようかな? 誰か手伝ってくれる人居ないかな?


スタン: いい人がいる。いつ帰ってくるか分からないけど、会ったら聞いてみるよ。


リッキー: ありがとう! ガーネットさん。


リッキーとスタンは軽くハグをしてから、スタンは家に階段を登った。

スタンは普段、小さな歴史博物館で仕事している。


家に入ると、ノックを何回かされた。スタンは扉を開けるとメイが居る。


スタン: また君か。今度はなんだ?


メイ: 家のシャワーヘッド壊れちゃって、シャワー出来ないから貸してほしい。


スタン: なんだと? 車の次はシャワーか。なぜいつも壊す? なぜ私なんだ?


メイ: そんな事言わないでよ、昔から機械は苦手なのよ。お願い!! 夜仕事だからシャワー浴びたいの!


スタン: いいだろう。丁度良かった。条件がある、中に入れ。


スタンはメイを招き入れた。そこで2つ条件をメイに渡した。


スタン: まず、大家さんと壁に動物の絵を描け、空いてる時間でいい。


メイ: え、絵を? 壁画ってこと? それともグラフィックアート?


スタン: それはお前が決めろ。ただ、可愛く描け。もう1つはこの本を渡す。読んで、感想を教えてくれ。


メイ: O・ヘンリーの賢者の贈り物? なにこれ? 聞いたことない。


スタン: O・ヘンリーはペンネームだ。本名はウィリアム・シドニー・ポーター、アメリカのノースカロライナ生まれだ。


メイ: へ〜! こんな作家が居るんだ! まあそもそも本で持ってる人って珍しいね。普通は電子書籍じゃない?


スタン: 電子書籍は嫌いだ。あれは本ではない。それは独特なユーモア小説だが、君の助けになるだろう。


メイ: 助け?


スタン: まあいい、この条件ならシャワーを貸してやろう。どうする?


メイ: 乗った! 先払い?


スタン: 後払いでいい、とりあえず早く入ってこい。


メイは会話を終えると、スタンのシャワーを借りた。スタンはなぜかこの少女には優しくなってしまう。ただ、それはスタン自信も気づいてはいなかった。メイは少し怖さはあるが、親切な人というイメージを持たれている。なにかあると、メイはスタンのところへ行く。

スタンは暖かいお茶を入れて、おもてなしをするつもりでいる。





読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート