説明会を終えたエリスとカイはカフェでお茶していた。
「ふう... お疲れ~♪ みんなが賛同してくれて良かったよ~♪」
「僕は何にもしてないから疲れてないけどね」
カイが苦笑しながら応える。
「大丈夫。これからコキ使うから♪ 覚悟してね♪」
「お手柔らかにね」
二人して笑い合った。
「今日はこれからどうするの?」
「農場に戻るよ。パン職人のことも気になるし」
「良い人見付かるといいね~」
「そうだけど、街から離れることになるからね~ 決断するのは難しいよね~」
「まあでも『エリス農場』で働けるってのは光栄なことだとも思うんじゃないかな」
「ちょっと待って! なに? 『エリス農場』って?」
「あれ? 聞いてない? 従業員の彼女達はそう呼んでるよ? ただの農場じゃあ味気無いからって」
「聞いてないわよ~!」
「そう? まあでも良いじゃない。エリスが造った農場なんだからさ」
「そうだけど、なんか恥ずかしいよ... 自分の名前付けるのって...」
「これから造るホテルだって『グランドホテル エリス』とか呼ばれるようになるかもよ?」
「それだけは絶対に阻止する!」
エリスは拳を握って宣言した。
「良いと思うけどなぁ~」
カイはニヤニヤ笑いながら言った。絶対に面白がってる。
「分かった! じゃあ農場の名前は『エリス&カイ農場』にする! ホテルの名前は『グランドホテル エリス&カイ』にする! どうよ? こっ恥ずかしいでしょ?」
エリスはドヤ顔で言い切ったが、カイは別の意味に捉えて顔が真っ赤になった。
「え、エリス、そ、それって...」
それでようやくエリスも気付いたらしい。
「あう...」
二人して真っ赤になったまましばらく固まってしまった。初心な二人である。
◇◇◇
「ただいま~」
「お帰りなさい、エリス様。説明会は如何でした?」
「うん、みんな賛同してくれたよ」
「良かったですね! おめでとうございます!」
「ありがとう。みんなもこれから忙しくなると思うけどヨロシクね」
「お任せ下さい! あ、そうそう、パン職人見付かりましたよ!」
「ホント!? どんな人?」
「自宅のパン屋を手伝ってた女の人で、友達を誘って来てくれるそうです!」
「良かった~♪ 街を離れることになるから厳しいかと思ってたよ~」
「そろそろ独立したいと思ってたそうで。『エリス農場』に店を構えるのは栄誉なことだって言ってましたよ!」
「あ、もう『エリス農場』は確定なんだね...」
喜色満面だったエリスの顔が引き攣ったのをカイは見逃さなかったとさ。
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