山道を塞いだ後、エリスとカイは農場に戻って来た。
今日はこれから従業員となった彼女達に仕事の説明をする。
「それじゃあカイは引き続き魔獣の子供の捕獲をお願い」
「うん、分かった」
「あなた達はこっちに来て?」
エリスは昨日作った、魔獣の子供を入れる檻に彼女達を案内する。
「まだ数が少ないからこんな簡易的な檻に入れてるけど、数が多くなって来たら柵を作って広い場所に移すつもり。まずは魔獣の子供に慣れておいて頂戴」
最初はおっかなびっくりだった彼女達だが、次第に慣れてきたようで「可愛い~♪」とか言いながら餌をやったり撫でたりし始めた。魔獣の子供との顔合わせが終わると、今度は鶏小屋に案内する。
「こっちは鶏だから怖くないでしょ? 餌と水やりと小屋の掃除は毎日ね。卵はどこに産むか分からなし、毎日産むかも分からないから、潰さないように注意してね? ここも数が多くなったら拡張するつもりだから」
次に芋畑を案内する。実はもう既に、芋類の収穫が始まっていた。
「今、ゴーレム達が種類ごとに分けて箱詰めしてる芋は、この農場の記念すべき出荷品第一号なのよ。これを明日、街に持って行く予定。みんな、喜んでくれるといいんだけど」
「絶対喜びますよ!」
ユリが嬉しそうに言った。
「ありがと。じゃあ最後に野菜畑を案内するわ」
野菜も順調に育っている。後少しで収穫出来そうだ。
「こっちは収穫まであと2、3日ってとこかしらね。さっきの芋類もそうだけど、収穫し終えた後に残った葉や、出荷できない野菜クズは全て魔獣や鶏の餌になるから覚えておいて。ざっと説明したけど、ここまでで何か質問はあるかしら?」
「収穫と出荷の作業は手伝わなくていいんですか?」
「基本、ゴーレムが全てやるから大丈夫よ。手が空いた時にでも手伝ってくれればそれで十分」
「今まで動物とかペットを飼ったことが無いんですけど大丈夫でしょうか?」
「世話の仕方は全部教えるから安心して」
「動物の世話だと休みが取れないと思うんですが、そこのところはどうなんでしょうか?」
「二人ずつ交代で休みを取るようにして頂戴。手が足りないところはゴーレムに手伝わせるわ。いつ休みを取るかは、あなた達が相談して決めて貰って構わないわ」
「分かりました」
「質問は以上かしら? では早速作業に入って頂戴。まずは鶏の世話からね。それが終わったら魔獣の扱い方を教えるわ」
「「「「 はいっ! 」」」」
こうして彼女達の農場生活が始まった。
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