エリスとカイの誕生日が明日に迫った。
ユリ達は二人一緒のお誕生日会を計画していた。その日はユリの実家である居酒屋を貸し切りにしてパーティーを開く予定だ。準備に抜かりはない。
「明日は夕方の十八時からパーティー開始ですからね! お二人とも遅れないように来て下さいね!」
楽し気にユリが告げる。
「えぇ、ありがとう。遅れないようにするわ」
「誕生日パーティーなんていつ以来だろう。ありがとう。嬉しいよ」
「プレゼントもバッチリ用意してありますからね! 楽しみにしてて下さい!」
ユリの言葉にエリスが反応する。
「ありがとう。楽しみにしてるわ。私もカイにプレゼントを用意しているから」
「僕も用意しているからね。楽しみにしてて」
「おぉ~! プレゼント交換ですか! なんか誕生日っていうより、クリスマス会みたいですね!」
全員が破顔した。
◇◇◇
そして誕生日会当日、どうやらヒナとキクにも声を掛けたようで、二人も店に来ていた。定刻となりパーティーが始まる。まずは十六本のロウソクを立てたケーキが運ばれて来た。ロウソクの火を本日の主役であるエリスとカイが一緒に吹き消すと、
「「「「「「 お誕生日おめでとう~♪ 」」」」」
全員が祝福した。
「「 ありがとう~♪ 」」
まずは乾杯する。ちなみにエリスとカイは未成年であるためジュースで乾杯だ。その後は料理に舌鼓を打つ。
「焼き鳥、コロコロステーキ、ポークソテー、鶏の唐揚げ、う~ん♪ 居酒屋メニュー最高~♪」
「肉ばっかりだね」
相変わらずだとカイは苦笑する。その後はしばらく歓談しながら飲み食いした。
「あなた達まで来てくれて嬉しいわ」
エリスがヒナとキクに話し掛ける。
「ユリが連絡してくれたんです」
「楽しみにしていました」
「あなた達に働いて貰うのはもうちょっと待ってね」
「はい、分かってます」
「ホテルの建設を優先して下さい」
「ありがとう」
◇◇◇
「さぁさぁ~♪ お待ちかね~♪ プレゼントの時間で~す♪ 私達全員からお二人にプレゼントしま~す♪ 受け取って下さ~い♪」
そう言ってユリ達から手渡されたのは、キレイにラッピングされた大きな紙袋だった。
「開けていい?」
「どうぞどうぞ~♪」
袋の中身は色々だった。マグカップに歯ブラシ、Tシャツにパジャマなどなど日用品がほとんどだ。だがそれら全てが、
「えっ? 全部ペアになってる?」
「正解で~す♪ 名付けて『カップルセット~♪』是非お二人で使って下さいね~♪」
その瞬間、二人は茹で蛸になってしまった。
「あ、ありがとう、大事に使わせて貰うわ...」
「あ、あぁ、そうだね、ありがとう...」
そんな初々しい二人を酒の肴にして盛り上がるユリ達であった。
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