西嶺真白へ 誕生日おめでとう
満「今日、誕生日らしいな」
真白「……なんですか、アーテル様まで」
満「なんだその顔」
真白「意外だなぁと思いまして」
満「あの人に聞かされては邪険にするわけにもいかないしな」
真白「ほんっとデウス様のこと好きですねぇ~……あ、もしかして今日ここに誘ってくれたのって、そういうことだったり?」
満「する」
真白「いやぁ、ごちそうさまです」
満「ほどほどにしろよ」
真白「はいはぁい」
満「ほんとに分かってるのか……」
真白「では、お祝いの言葉をいただいても?」
満「……おめでとう」
真白「ふふ、どうもぉ」
満「乾杯」
真白「かんぱぁい。ん~美味しい。いやぁ、それにしても皆結構覚えててくれるんですね、誕生日。嬉しいもんです」
満「皆にも祝ってもらったのか」
真白「勿論。デウス様、今日一会うなり、おめでとうって言ってくださった上にプレゼントくれたんですよ」
満「ほう」
真白「なにくれたと思います?」
満「さあ」
真白「香水」
満「へえ、洒落てるな」
真白「それがすごいんですよ、ちょっとあたしにはまだ早いかなぁってブランドのずっと気になってたやつで……よく分かりましたねって言ったら、いつも素敵な香りがするからねって言ってくださって」
満「良かったじゃないか」
真白「今つけてるんです、これ、手首嗅いでみてくださいよ」
満「……似合うな」
真白「でしょ? そうそう、可愛かったのはあの子たち、アウルムとニクスとルークス」
満「可愛かった?」
真白「三人で料理してたんですよ、あたしのために。ホットケーキ焼いて、いっぱい重ねて、クリームやら蜂蜜やらなにやらかけてくれて。あ、フルーツもたくさん乗ってたな」
満「随分豪華だな」
真白「そう。調理途中であたしが通りかかっちゃったもんだから三人とも大慌てで、おっかしくって。で途中から見てたんですけど、アウルムとルークスは特に料理に不慣れみたいで危なっかしいんですよ。何度か助太刀に入ろうとしたら断られちゃいましたけど」
満「美味しかったのか?」
真白「そりゃあもう! 人生で食べたホットケーキの中で一番美味しかったです。生地がしっかりしてるタイプのホットケーキ、最高でした」
満「それは良かった」
真白「グラキエース様とアクア様はさすがですね。これ」
満「ネックレスか」
真白「はい、おふたりで選んでくださったみたいなんです。これ、ちょっとすごくないですか」
満「ダイヤモンドか?」
真白「らしいです……ちょっとビビりました」
満「それで今日はシックな恰好してるのか」
真白「あ、バレました?」
満「スーツの俺とやっと釣り合った」
真白「そういうこと言う……今ならカップルって言ってもいけますかね?」
満「馬鹿言え」
真白「冗談ですよ。あ、そうそうこれ見て」
満「爪?」
真白「コルさんに貰ったんです、マニキュア」
満「いい色だな」
真白「でしょ? このベージュ、めちゃくちゃ肌なじみ良くって感動しました。似合いません?」
満「……良いんじゃないか」
真白「へへぇ、ありがとございます」
満「いつもより落ち着いて見える」
真白「あたしもまたひとつ大人になったからですね」
満「そうかもな」
真白「あー、思ってないでしょ」
満「そんなことない」
真白「心がこもってないです」
満「気のせいだろ」
真白「そうですかねぇ?」
満「ほら、次、頼むか?」
真白「あ、そですね……んー、どうしよっかな」
満「悩んでるなら勝手に頼むぞ」
真白「……なに頼んだんですか?」
満「お楽しみ」
真白「お楽しみ、って……ふふ」
満「なんだ」
真白「いやぁ、なんか今日のアーテル様、テンション高いなって思って」
満「ご不満かな?」
真白「とんでもない。嬉しいです」
満「嬉しい?」
真白「はい」
満「……変わってるな」
真白「そうですか? ……お」
満「ん」
真白「わ、これですか」
満「そう」
真白「緑色が沈んでて綺麗……これ、なんてカクテルですか」
満「雪国」
真白「すっごい、こんなカクテルがあるんですね……これ、あたしのために選んでくださったんですか?」
満「そんなところだ」
真白「ふふ、実はショートカクテル、初めてです……じゃ、いただきます」
満「どうぞ」
真白「ん……これ、縁についてるの砂糖なんですね、すごい、美味しいです」
満「それは良かった」
真白「ありがとうございます」
満「……そういう顔もするんだな」
真白「は?」
満「いつものしたり顔よりずっといい」
真白「え、あたし、どんな顔してました?」
満「さあな」
真白「ちょっと、も、アーテル様ぁ~~」
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