ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げをしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語。

ハクスラ異世界✕ソロ冒険✕ハーレム禁止✕変態OK=絶賛連載中÷微妙に癖になる。
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第268話【森のヒロイン】

公開日時: 2021年2月14日(日) 10:35
文字数:3,309

「ギィ、ググ……」


俺は巨大カマキリの頭にショートソードを刺したままの状態でいた。


何故ならば、まだ巨大カマキリの両鎌で両肩をガッチリと掴まれたままだったからだ。


「頭を割られても、体の反応は終わらないのか……」


俺は巨大カマキリの頭からショートソードを抜くと、巨大カマキリの両腕をスパリと斬り落とした。


いや、落ちてないか。


二つの鎌は俺の肩を掴んだままだ。


しかし、やっと両方の鎌から僅かに力が緩んだ。


その二つの鎌をショートソードの先でこじ開けるように取り外す。


ボトリボトリと二つの鎌が地面に落ちると、頭を割られた巨大カマキリの腰が揺らいで沈む。


だが、まだ完全には倒れていない。


「やっと死んだか……?」


「ギ、ギィ……」


「まだ生きてるか……」


なかなか死なないな。


しかし巨大カマキリの瞳は少しずつ黒く濁り出していた。


バッタやカマキリの瞳って、普段は緑の水晶見たいに澄んでいるけれど、ストレスが積もったり、死が近付くと黒く濁り出すんだよね。


まあ、こいつは、ほっといても死ぬけれどさ。


でも、まだ生きてるんだよな……。


俺はショートソードを横に振りかぶった。


「せやっ!」


俺は二つに割れた巨大カマキリの首を跳ねてやった。


二つの頭が地面に転がる。


これで死ぬだろう──。


昆虫にだって痛覚ぐらい有るだろうさ。


あのまま首が繋がっていたら、いつまでも痛みを感じながら朦朧としていたかも知れない。


これで頭に栄養が回らなければ、ちゃんと早く死ぬだろうさ。


まあ、僅かな慈悲だ。


よし、俺はショートソードを鞘に収めると、奪われたロングソードを拾う。


すると近くの草むらが、ガサガサと揺れだした。


何か大きな物が潜んで居るようだ。


そのぐらい派手に草むらが揺れている。


「もう次が来たのかよ……」


新手だ。


さて、次は何が出て来るのかな。


俺が呆れる心の中でワクワク感を燃やしていると、草むらから巨大な顔だけが飛び出した。


「仮面ラ◯ダー?」


「違いますよ。っと、言いますか。誰ですか、それは?」


それは言葉をしゃべりながら、草むらから出て来た。


「殿様バッタ……。もしかして、さっきのヤツか?」


「はい、そうです」


巨大殿様バッタは明るい口調で答えた。


「先程はお助け頂き大変有り難うございました」


律儀な殿様バッタだな。


ちゃんとお礼を言いに来たか。


でも、俺が助けたわけじゃあないんだけどね。


巨大カマキリが勝手にお前を解放して、ターゲットを俺に変えただけなんだけれどさ。


まあ、ここは乗っかっておこうかな。


「いや、気にするな。か弱い巨大殿様バッタを魔の手から救っただけだからよ」


「いえいえ、あなた様は命の恩人です。なんと言ってお礼をしたらいいのやら」


「お礼なんて要らんよ」


「ですが……。あっ、そうですわ!」


えっ、何か思い付いたのか?


「どうでしょう。お礼の代わりに私と交尾をしませんか。私もお強い子種が欲しいですから」


俺はズルリと転けた……。


「えっ、おまえ、雌なの?」


「はい、ピチピチの乙女ですわ」


いや~、巨大化してても昆虫なんか、雌か雄かなんて分からんわ……。


それどころかピチピチしているかも分からんぞ。


てか、こいつが麗しい乙女であろうと、殿様バッタなんかと交尾なんて出きるかよ。


マジで全然燃えないよ……。


「では、どうぞ。好きなだけ私の背中に乗っかってくださいませ」


そう言うと雌の殿様バッタは俺にお尻を向ける。


正直、そんな乗っかりかたはしたくないわ。


「いや~……、バッタは、雄が雌の背中に乗っかって交尾するのは知っているけどさ。ほら、俺、人間だからさ……」


「そんなこと言わずに、遠慮無くどうぞ。私はもう発情期ですから!」


「俺には発情期が来ないからさ……」


「あれれ、人間は何時でも何処でも発情できると聞きましたが?」


「うん、それは間違いでは無いけれどね……」


「それじゃあ何が不満ですか? 私の美貌が足りませんか!?」


「お前が可愛いかどうかなんて人間の俺に分かるわけないだろ……」


「そ、そうなんですか……。私は結構モテモテの殿様バッタなんですがね」


あー、確かにさっきも巨大カマキリにモテモテだったもんな。


「お前さ、人間をバッタ界の繁殖に引き摺り込むなよな……」


「じゃあ、この哀れで麗しいヒロインは、どうやってあなた様にお礼をしたら良いのですか!?」


「うーわー、このアマ、自分から哀れで麗しいヒロインとか言い出しやがったわ。痛いぞ。超痛いぞ!」


「だってこのシチュエーションだと、私が森のヒロインで、あなた様が助けに来た王子さま的なヒーローさまじゃあ有りませんか!?」


「俺がヒーローなのは間違いないが、お前がヒロインってのは理解できないぞ」


「あらら~、自分からヒーローとか言い出しましたは、この人ったら……。本当に痛いわね……」


「てめー、この殿様バッタが! 俺と同じ呆れかたをすんなよな! 他人を痛いとか言うな!!」


「もう、このツンデレさんが。本当に照れ屋さんなんだからw」


「ゴラァ、語尾にwとか付けてんじゃあねえぞ! それに誰がツンデレだ!!」


「もー、じゃあ、どうやって私はあなた様に感謝のお礼をしたら良いのですか!?」


「それじゃあさ、この森がどうなってるか聞かせろ。情報を貰えれば感謝するからさ!」


「それだけですか……?」


「なんか、不満そうだな?」


「本当に私の体は要りませんか?」


「だから、要らねーから情報をよこせって言ってるんだよ!!」


「ピチピチですよ?」


「くどい!!」


「もう人間って謙虚ね……。本当に詰まらないわ……」


駄目だ、この殿様バッタちゃんは……。


頭ん中までお花が咲き乱れるほどに発情期だわ。


そもそもなんで殿様なのに雌なんだよ。


雌なら姫様バッタとかじゃあね?


人妻なら奥方バッタじゃあね?


てか、久々に出て来た女性キャラが殿様バッタかよ……。


そんなの有りかよ……。


こいつが今回のヒロイン候補とか有り得ないだろ……。


本当に萌えないぜ……。


「兎に角だ。いいから早く森の情報を話して別の雄を求めに行けよな」


「わ、か、り、ま、し、た~。ダーリン」


何、その反応は!?


マジで俺はカップルになった恋人と詰まらない喧嘩をしている見たいじゃあねえかよ!!


それに誰がダーリンだ!!


ちょーー、イライラするな!!


まあ、なんやかんやあったが、俺は巨大殿様バッタちゃんから森の状況を聞いた。


それが思ったよりも良い情報を聞けたのである。


まず、森の巨大昆虫のすべてが、若干の差はあるが、|自分《殿様バッタ》並みの知能は有しているらしいのだ。


それもすべて魔法使いの研究で進化した結果らしい。


そして、森は三層に別れているらしいのだ。


まず今現在俺たちが居るポイントが、緑の森エリアと呼ばれており、いろいろなポピュラーでピープルな巨大昆虫が住んでいるらしい。


そして、森の中間ぐらいのエリアが、黒い森エリアと呼ばれている。


そこは巨大蜘蛛が多く巣くうエリアらしいのだ。


巨大蜘蛛のリーダーはマリベルと呼ばれる雌の巨大蜘蛛で、自分の子供たちで広く縄張りを仕切っている。


更に魔法使いの塔の周辺は森の中央で、毒の森エリアと呼ばれている。


そこは毒を有した巨大昆虫が巣くって居るらしいのだ。


その毒の森は西と東に勢力が割れており、西は蠍男爵婦人のグレーテがリーダーで、東は百足女郎のアイラがリーダーらしいのだ。


ただし、この殿様バッタちゃんは、毒の森まで行ったことは無いらしく、詳しくは知らないらしいとのことだ。


そもそもである。


巨大蜘蛛のマリベルも、蠍男爵婦人のグレーテも、百足女郎のアイラも、すべてが雌だ。


昆虫の世界では、雌のほうが体も大きく強いらしく、交尾の最後で雄を食らうことも少なくないので、雌がリーダーとして幅を効かせているのが現状である。


兎に角、昆虫の武力世界は、雌が有利で強く長生きで、リーダーとして権力を握りやすいとのことである。


「なるほどね。ここからは雌が強敵になるのか」


「はい、ですからお気を付けてください」


「サンキュー、殿様バッタちゃん。それじゃあ俺は行くぜ」


「じゃあ、最後に言わせてくださいませ、私のヒーローさま」


「なんだい?」


「本当に私と交尾をしなくていいのですか?」


「だから、それはいいってばよ……」


本当に、くどいわ……。



【つづく】

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