ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げをしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語。

ハクスラ異世界✕ソロ冒険✕ハーレム禁止✕変態OK=絶賛連載中÷微妙に癖になる。
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第198話【闇夜遭遇】

公開日時: 2020年12月20日(日) 17:39
文字数:2,141

俺はラングレイの家に上げて貰ってコーヒーをごちそうになっていた。


丸太で作られたログハウスってやつだ。


なんとも古風で立派な家である。


俺も老後はこんな穏やかな家で過ごしたいものだな。


ムキムキのラングレイが暖炉に薪を投げ込んでから言う。


「あんた、若いけど大丈夫かい? それに一人なんだろ?」


俺はコーヒーを啜ると自信満々に答えた。


「冒険者の強さに若さは関係無いだろ。それに俺はずっとソロでやってるんだ。そこらのパーティーよりも実績は上げているぞ」


ラングレイは溜め息を吐いたあとに言う。


「まあ、俺は構わんけれどな。コカトリスのヤツらを退治できなければ、あんたが死ぬだけだからよ」


えっ、今さ、コカトリスのヤツらって言いましたよね。


コカトリスは複数居るのかよ。


「コカトリスは何匹居るんだい?」


「四匹か五匹だ。はっきりした数は、俺も分からん」


「う~む、ちょっと数が多いな」


「おじけづいたか?」


「いや、やりごたえがある仕事だぜ」


「先週来たパーティーのヤツらも同じようなことを言ってたな。帰って来なかったけれどよ」


まあ、コカトリスの強さが分からないから何とも言えないが、少なくとも分かることは、そこらのパーティーでは敵わないってことか~。


ラングレイが話を続ける。


「ヤツらは普段は山に住んでやがるが、たまに下りて来てうちの野菜を荒らしやがるんだ。急いで退治するほどの被害は無いが、いつまでも放置もしてられないからな」


「なるほどね、分かったよ。ところでさ?」


「なんだい?」


「コカトリスの習性とかを知らないか?」


「俺が知っている限りだと、体長は2メートルほどだ。蛇の尻尾を入れればそれ以上だがな。それとヤツらは肉は食べない。肉を突っつくと、石化しちまうからな」


「じゃあ植物しか食べないのね」


「ああ、人間を襲うのは、おそらく防衛本能か縄張り意識だろう」


「まあ、冒険者に襲われたら、そりゃあ防衛もするわな」


「あと、ヤツらは鳥目だ。夜は動き回らない」


「あー、鶏だもんな」


「俺がアドバイスできるのは、そのぐらいだな」


「十分な情報だぜ。サンキューさん」


「でえ、いつから討伐に出るんだい?」


「これからだよ」


俺は席を立つとログハウスを出て行く。


俺はログハウスの側で山を見上げた。


杉の木が生えた山だ。


それにしても、つまらなかったな。


あのラングレイっていうおっさんは。


外見と名前がドルフってたから、豪快で大胆なキャラを期待していたのだが、とてもとても普通なんだもの。


最近は名前の無いモブキャラですらお馬鹿が多かったから、本当にがっかりだわ。


ただの出オチキャラなんだもの。


それだけでテンションが下がって行きますよね。


まあ、この鬱憤はコカトリスたちで晴らすしか無いだろう。


俺は徒歩で山に入った。


コカトリスって巨漢なはずだから、こんなに草木が険しい山なら少なからず獣道を作るだろう。


それに石化した連中の遺体も有るだろうから、生息地は直ぐに分かるはずだ。


まずは、ヤツらの痕跡を探さなければなるまい。


俺はひたすら山を進んだ。


やがて昼が来たので保存食を食べる。


そしてまたコカトリスを捜索した。


しかしコカトリスの姿どころか痕跡すら見付けられずに時間だけが過ぎて行った。


やがて日が沈み始める。


そこで俺は気が付いた。


「俺、遭難してないか……?」


えっ、マジ!?


どーーーしよーーー!!


こんな山奥で遭難してませんか、俺!?


てか、どっちからきたかもよく分からなくなってますがな!!


ヤバくね!?


だんだん回りも暗くなってきてるしさ。


こりゃあ完全に遭難ですよ!!


どうやってラングレイのログハウスまで帰ればいいんですか!?


そうだ、まずは転送絨毯でソドムタウンに帰ろう!!


それで命は助かるじゃあないか!


それで明日の朝になったら戻って来て……。


いや、それでも遭難している状態は変わらないな……。


絨毯が在るのはここなんだから、ここがどこか分からなければ遭難状態は続くよな。


ちくしょう……。


最悪は転送絨毯を諦めれば命が助かるが、それだと秘密基地計画が根本から崩れてしまうじゃんかよ。


せめて安全に転送絨毯を広げられる場所だけでも見付けないとな。


じゃないとソドムタウンにすら帰れないじゃんかよ。


ん?


なんだ?


人影?


俺は林の向こうに人影を見付ける。


こんな山奥に人が居るのか?


とりあえず接近して見よう。


あ~れ~。


服を着ているが体は石じゃんか。


これってコカトリスに石化された人だよね。


だとすると、この辺にコカトリスが居るのかな?


でも、辺りが随分と暗くなってきたぞ。


コカトリスも鳥目だが、人間も夜目が効くわけじゃあないからな。


まあ、明かりが要るよね。


俺はショートソードを抜くと先端にマジックトーチを掛けた。


周囲が明るく照らされる。


んん?


あっちにも動かない人影が複数個あるぞ。


俺が進んで見ると、それは冒険者の姿をした石像だった。


その数は十体は有る。


これってもしかして、コカトリスの巣が近いってことかな?


その時である──。


ガサガサガサ!!


むむ!?


林の中で何かが動いたぞ!!


俺はショートソードを近くの杉の木に突き刺すと、別の杉木に隠れた。


よし、遭遇したぞ!


もう日は落ちた。


こっちも見えないが、向こうも見えないはずだ。


条件はイーブンだな。


あとは、先に相手を発見出来たほうが勝ちだぜ。



【つづく】

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