ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げをしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語。

ハクスラ異世界✕ソロ冒険✕ハーレム禁止✕変態OK=絶賛連載中÷微妙に癖になる。
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第140話【激熱スープ】

公開日時: 2020年11月18日(水) 18:32
文字数:2,731

俺はワイズマンの母ちゃんが経営していた店を出て城に帰った。


──に、してもだ。


意外だったな。


ワイズマンの母ちゃんが、あんな店をやっていたなんてさ。


どういうカラクリだろう。


年齢が可笑しいが、俺なんかが名探偵ぶって、それを解明する必要は無いだろうさ。


兎に角、柄じゃあないね。


まあ、今度にでも訊いてみるさ、ワイズマンによ。


そんなことを考えながら城内を歩いて裏庭の詰所に俺が帰ると、裸エプロン姿のピーターさんが昼食を作って待っててくれた。


俺がパーカーさんやスパイダーさんと一緒のテーブル席に付くと、裸エプロン姿のピーターさんが昼食を運んで来る。


「はぁ~い、皆さん、お待たせしました。今日の昼食はパンとサラダとコーンスープですよ」


「有り難う、ピーター。いつも済まないな」


パーカーさんが裸エプロン姿のピーターさんに感謝する。


そう言えば、いつも料理を作ってるのはピーターさんばかりだな?


何故だろう?


「ところで、パーカーさん、ピーターさん。なんでいつもピーターさんが料理を作っているんだ。交代とかじゃあないのか?」


俺の質問に裸エプロン姿のまま席に付いたピーターさんが答える。


「それは僕が三人の中で一番料理が得意だからだよ、アスランくん」


「あ~、確かにピーターさんの料理は旨いな~」


「有り難う、アスランくん。誉めて貰えると、僕も嬉しいよ」


「ところでピーターさん」


「なんだい、アスランくん?」


「なんで、裸エプロンなん?」


素朴な疑問だった。


しかし、誰もピーターさんの裸エプロン姿を見ても突っ込まないから、俺は皆が見えていないのかと自分の目を疑ったぐらいなのだ。


これは、仕方ないので訊くしかないだろう。


だが、ピーターさんは微笑みながら昼食を取り続けて答えない。


他の二人も黙ったまま飯を食べている。


しばらく我々四人は黙ったまま昼食を取り続けた。


まずったかな?


訊いてはならなかったかな?


まあ、答えて貰わなくてもいいだろう。


今日は午前中だけで、いろいろあったのだ。


全裸で拘束されたり、リックディアスに再会したり、ワイズマンの母ちゃんに出会ったりとだ。


もう、盛り沢山な午前中だったのだから、凄くお腹一杯なのだ。


これ以上の珍エピソードは沢山である。


しかし、ピーターさんが答えた。


 「実は、僕ね……」


あー、なんか嫌な感じの切り出しかただな……。


口調が暗いよ。


「好きな人が居るんだ……」


うわぁ~……。


めっちゃ暗い顔で言いやがったよ。


やぁ~な感じ~。


「え~、ピーターさん、誰を好きなんですかぁ~」


スパイダーの馬鹿野郎、訊くなよ!!


流せよ!!


ドブに流しちまえよ!!


この話を進めたら、泥沼に踏み込むぞ!!


「実を言いますと……」


答えるなピーターさん!!


馬鹿野郎の問いに答えなくっていいからさ!!


「実は僕ね。パーカーさんが好きなんだ!!」


あー、そう来ましたかぁ~。


そっちに振りましたか~。


あれ~、パーカーさんが思ったより冷静だな?


静かですよ?


衝撃を受けませんか、パーカーさん?


「ピーター、お前まさか──」


あれ、パーカーさんも真面目に答えますか?


「お前、まさか。あの晩のことを本気にしているのか?」


えっ、あの晩ってなんだよ?


どの晩ですか?


「当たり前じゃあないか、パーカーさん!」


えっ、なに、どういうこと?


このまま話が進むのですか?


「あの晩のことは忘れてくれ、遊びだったんだよ……」


なに、どんなことして遊んだのさ!?


すげー、興味有るわ!?


「ひ、酷いよパーカーさん。あの晩の激しさは嘘だったのかい!?」


「ああっ、嘘だよ。遊びだって言ってるだろ!」


うわ~、俺とスパイダーさんが置き去りだわ。


すげー置き去りだわ~。


「あんなに激しかったのに!!」


「馬鹿野郎が。激しいから遊びなんだよ。本気だったら、もっと優しくするだろう!」


「ひっ、酷い!!」


ちょっと待ってくれ、どこまで二人で突っ走るんですか!?


もう追い付けませんよ!!


今日はいろんな人々に追い付けない日々だわ!?


「ちょっと待ってくださいよ~、二人とも~。恋愛話なら飯の後にしませんかぁ~。まずは美味しく御飯を食べましょ~ぜ~」


なにこの馬鹿スパイダー!?


この修羅場で何を言ってるんだよ!?


馬鹿は黙ってろよ!!


「黙ってろ、この脳タリンが!!」


パーカーさんがスパイダーさんの襟首を掴んで引き寄せた。


「俺はお前のために言ってるんだぞ!」


「へっ……?」


「俺が好きなのは、スパイダー、お前なんだぞ!!」


「マジで……」


えっ、マジで大暴走じゃあねえ!?


どこまで行くのさ!!


「いや、でも、俺はパーカーさんのこと何とも思ってないし……」


「分かった。そこまで言うなら、今晩を俺と過ごそう。ベッドの中で再教育してやるぞ!」


「いやいやいや、結構で~す。俺、彼女いますから~」


「な、なんだって……!?」


「俺、メイドのアンナと、付き合ってますから~」


「「「マジで!?」」」


「マジマジ~。もう付き合い始めてから~、半年ぐらい経ちますよ~」


「う、嘘だろ……」


パーカーさんが、膝から崩れ落ちたわ。


そんなにショックでしたか。


すると裸エプロン姿のピーターさんが、両膝を付いて崩れているパーカーさんに背後から抱きついた。


「パーカーさん、僕が慰めてあげます。僕になら、何をしても構いませんよ」


あー、そろそろこの茶番も終わりかな。


良かったは、終わりが見え始めてさ。


「だまれ、この売女!!」


「きゃ!!」


「お前みたいな汚らしい女が俺を慰めるだと。舐めるなよ!!」


「ひ、酷い!!」


えー、まだ続くの~。


もう飽きたわ~。スパイダーさん、助けてよ~。


あー、駄目だ。


スパイダーさんも鼻糞ホジってるよ。


俺、部屋に帰ろっかな~。


それともこの際だからダンジョンにでも入ろっかな~。


「ピーターさ~ん、スープのおかわりいいっスかぁ~」


「あ、はいはい、ちょっと待ってくださいね。スパイダーさん」


えっ、なにそこは普通に対応するんだ。


おいおい、そんなこんなしている間にパーカーさんが脱ぎだしたぞ!?


なんて脱ぐん!?


しかも何故、全裸になるん!?


「ピーター、ならば慰めて貰おうか!!」


いやいや、さっきと言ってることが違うじゃんか!?


「分かったよ、パーカーさん。これでも食らえ!!」


「アチッ! アチッ!」


うわー、激熱スープをお玉でかけ始めましたぞ!?


もうマジで、何がなんだか分かんねえよ!?


「あー、食った食った~。腹一杯だわ~」


何を落ち着いて食い終わってるんだよ、スパイダーさんはよ!?


そして、驚愕する俺の目線を感じ取ったスパイダーさんが言う。


「あ、これ、今度やる演劇の練習だから~、気にしないでくれよ~」


「演劇って……」


「アチッ! アチッ! 馬鹿野郎、マジで汁をかけるなよ!!」


「ぴっ、ぴっ」


「アチッ! アチッ!!」


激熱スープをかける演劇ってなんだよ?



【つづく】

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