ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げをしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語。

ハクスラ異世界✕ソロ冒険✕ハーレム禁止✕変態OK=絶賛連載中÷微妙に癖になる。
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第88話【オークとの闘い】

公開日時: 2020年10月10日(土) 07:16
文字数:2,339

タンカー内に慌ただしく非常ベルと重々しい足音が鳴り響く。


「ぶひブヒーぶひい!」


「ブヒぶひー!!」


上の階段からオークどもがドシドシと降りて来た。


それにしてもブヒブヒと五月蝿いヤツらだな。


俺はブリッジから甲板に通じる階段の下の荷物に紛れて身を潜めていた。


オークどもは俺に気付く素振りはない。


一、二、三、四──。


いや、五匹か。


五匹のオークがブリッジから出て来たぞ。


最後の五匹目は体格がかなり大きかったぜ。


あいつがリーダー各だな。


しかも全員フルプレートだ。


オークどもは、まだ状況が飲み込めていないのだろう。


非常ベルの騒音と誰もいない状況に混乱している。


仲間が半数も殺られていることすら知らないはずだ。


「ブーヒブー!」


「ぶひ!」


何やら大柄オークが指示を飛ばしている。


その指示にオーク四匹はバラバラに散らばって行った。


俺は異次元宝物庫からロングボウを取り出すと矢を力一杯引き寄せる。


うむ、やはりショートボウより力がいるね。


俺は10メートルも離れていない距離に居る大柄のオークの背中を狙う。


この距離ならプレートメイルを突き破れるだろう。


しかし、出来れば一撃で仕留めたいからスマッシュアローを使ってみようと思う。


矢の飛距離と攻撃力が1.25倍するスキルだ。


「喰らえ、スマッシュアロー!!」


俺はスキルで破壊力を強化した矢を放った。


その矢は大柄オークの鎧を破り背中に突き刺さる。


「ブヒィーー!!」


悲鳴を上げた大柄オークが前のめりに倒れたが、両手両膝を付いていた。


四つん這いで耐えている。


畜生!


一撃で決まらなかった。


しかも大柄オークの前に居たオークが振り返る。


あれ、居たのね。


「ぶひ?」


大柄オークの体格に隠れて見えなかったのだ。


俺は更に矢を構えた。


再び矢を放つ。


「スマッシュアロー!!」


必殺技を籠めて放った矢がオークの右肩に突き刺さったが、また一撃では決まらなかった。


しかし射ぬかれたオークは、よろめきながら混乱している。


俺は弓を捨ててバトルアックスを持ち直して走った。


「うーーりゃぁいああ!!」


四つん這いになっている大柄オークの背中を踏台にして高く跳ぶ。


そこからバトルアックスを怯んでいるオークの頭に叩き落とした。


「どらっ!」


「ブヒ!!」


バトルアックスがオークの頭をヘルムごとカチ割り胸まで切り裂く。


俺は直ぐさま腰にあるダガーを引き抜くと、立ち上がろうとしていた大柄オークの喉に滑り込ませた。


「せい!」


「ふご……」


喉を深く切り裂く。


鮮血を吹き出す大柄オークを蹴飛ばすと、頭をカチ割ったオークの死体からバトルアックスを引き抜いた。


だいぶバトルアックスが深くまで刺さっていたので引き抜くのに手間が掛かってしまう。


しかし、どちらのオークも動かない。


よし、二匹狩ったぞ!


そして、突然だった。


非常ベルの鐘の音が止まってしまった。


「ちっ、誰かが非常ベルを止めたのか」


俺は急いで物陰に身を潜めた。


正直なところ非常ベルは良かったかも知れない。


あの五月蝿い騒音は、相手を混乱に陥れるだけでなく、こちらの戦闘音を消してくれていた。


あの騒ぎに乗じて二匹のオークを倒せたのだ。


しかも、内一匹はリーダー格だ。


これであとの三匹は有象無象だな。


もうこの勝負は勝ったも同然だぜ。


俺は空になったと思われるブリッジに上がった。


ブリッジの中はやはり空である。


俺がブリッジの窓から外を見回すと、三匹のオークがバラバラに甲板周辺を捜索していた。


そろそろ仲間の死体を見つけてもいいころだろう。


だが、まだ頭を取られたことにすら気付いていないはずだ。


俺は思わず言葉を漏らす。


「これなら後片付けは楽だぜぇ~ーええっえっえっ!えっーーー!!??」


見ていた窓ガラスにオークの影が映った。


俺の背後にもう一匹のオークが居やがったのだ。


「十一匹目だと!?」


俺は瞬時に振り返る。


そこにオークが持ったグレートアックスが振られた。


「ぶひ!!」


横振りの強打だ。


咄嗟に俺はしゃがんで躱す。


「おわわわわ!!」


すると振られたグレートアックスが頭上の窓ガラスをバリバリと割り砕く。


ガラス片が飛び散るなか、俺は横に跳ね飛んだ。


それを狙ってオークがグレートアックスを振り上げた。


しかし天井に斧先が激突して止まる。


「ぶひっ!?」


バカめが!


大きい武器は、室内だとそうなるんだよ!


「ファイヤーシャード!」


「ブヒィーー!?」


俺の魔法がオークの顔面を燃やした。


オークはグレートアックスを落として顔を両手で押さえる。


そこに俺は飛び込んだ。


ショートソードを腰の位置に立ててだ。


「ぶーひーー!!」


「おおら!」


俺はオークの腹にショートソードをぶっ刺すと、更に深くと力任せに押し込んだ。


「ぶっ……ヒィ……」


殺ったか!?


【おめでとうございます。レベル13に成りました!】


よし、殺したぞ!


腹を刺されたオークの瞳から正気の光が失われ、口から血をダラ~リと垂れ流す。


俺は俺に糞重たい体重を寄り掛けていたオークの体を跳ね退けた。


フルプレートを纏っていたオークが激しい音を立てて倒れる。


これで今度こそ残すは三匹だ。


俺は割れた窓から外を見た。


しかしオークたちの姿が見えない。


どこに行きやがった!?


やばい、見失ったぞ!


俺がしばらくオークの姿を探していると、牛の鳴き声と共にチャリオッツが三騎発進した。


船底の穴から荒野に逃げて行く。


あー、逃げられた。


んー、まあ、いいのかな?


全滅ではないが、オークの野党は壊滅っぽいもんね。


よし、これで船内を漁ってから帰ろうかな。


だが、こんなに激しくカッコいい戦いを繰り広げていた俺の身なりは、ビキニアーマーである。


映像で見ていたら、カッコいいってことはないだろう……。


むしろ笑える光景だわな……。


やっぱり次の仕事からはビキニアーマーを禁止にします。


ホンマに締まらんわ……。



【つづく】

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