ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げをしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語。

ハクスラ異世界✕ソロ冒険✕ハーレム禁止✕変態OK=絶賛連載中÷微妙に癖になる。
退会したユーザー ?
退会したユーザー

第184話【メトロ・ガイスト】

公開日時: 2020年12月11日(金) 09:28
文字数:2,908

部屋に入って来た老紳士は滑らかな口調で言った。


「おはようございます、ワイズマン殿」


「やあ、おはよう、メトロ・ガイストさん」


えっ、何、その名前?


直訳すると『地下鉄の幽霊』なのかな?


この世界に地下鉄ってあるんかい?


「メトロ・ガイストさん、仕事の話の前に、紹介したい方がいましてな」


「その若者ですなぁ」


「はい、そうです」


ワイズマンが俺を紹介する。


「私のベストフレンドのアスランくんだ」


ベストフレンドは余計だ……。


マジでキモイわ……。


「ほほぅ~」


ワイズマンが俺を紹介すると、メトロ・ガイストが口髭を撫でながらこちらに近付いて来た。


「あなたが噂になっているアスラン殿ですかぁ」


「噂になっている?」


俺は首を傾げた。


なんか変な噂が立っているのか?


ワイズマンとの変な噂じゃあないだろうな……。


メトロ・ガイストが述べる。


「ええ、前君主の依頼で閉鎖ダンジョンを攻略したっていう冒険者が、ソドムタウンのソロ冒険者アスランだとか。まあ、噂ですがね」


「あ~……」


どうしようかな。


否定したほうが良いのかな。


それとも自慢してもいいのかな。


確かこの依頼は秘密だったような気がするぞ。


それに閉鎖ダンジョンって、年に何日しか解放されないんじゃあなかったっけ?


ここはグッと我慢して、真実は伏せておこうか。


何せベルセルクの爺さんは死んだことになっているしさ。


変なトラブルに巻き込まれたくないからな。


「まあ、噂だ。信じるも信じないも、あなた次第だぜ」


これで誤魔化せたかな……。


「まあ、いいでしょう。ソドムタウンの冒険者に閉鎖ダンジョンが攻略されたと知れたら、どんな騒ぎに成るか分からないですからね。ここは噂ってことにしておきましょうか」


「うむ、助かる」


このギルマスは、なかなか空気が読めるヤツで助かるな。


「では、ワイズマン殿、仕事の話に入りますか」


「はい、分かりました、メトロ・ガイストさん」


その後、二人は仕事の話をしばらく続けた。


荷物の輸送がどうのとか、人件費がどうとかの話だった。


どうやら荷物の輸送中に冒険者を警護に付けたいとの話らしい。


まあ、ちょくちょく有る話だな。


冒険者が旅商人の警護に付くって依頼はさ。


でも、二人の話を聞くからに、大規模の輸送らしい。


コンボイが大きく、相当の人数を護衛に付けたいらしくて、話が難航してやがる。


この辺は上の人間がする難しい話だ。


末端の俺みたいなヤツが口を挟む問題ではないだろう。


まあ、ちょっとした勉強程度に黙って聞いててやるよ


そんなこんなで二人の話が終わる。


どうやらワイズマンのいいように商談は纏まったようだ。


メトロ・ガイストが「ワイズマン殿には敵いませんよ」と言って苦笑っていた。


「では、私たちは帰りますね」


そう述べたワイズマンがソファーから腰を浮かせると、メトロ・ガイストが「ちょっと待ってくれないかぁ」と止めた。


ワイズマンは腰をソファーに戻した。


「何かね、メトロ・ガイストさん?」


メトロ・ガイストは、口髭を撫でながら言う。


「すまないが、アスラン殿に仕事を頼みたいのだ。いいかな?」


「俺にか?」


「そう、あなたにだ」


何故だろう。


俺は自分の疑問を訊いてみた。


「何故に、ゴモラタウンの冒険者ギルドの長が、ソドムタウンの冒険者の小童に、仕事を依頼しなければならないのだ?」


「それはキミの実力を試して見たいのだよ」


「試す? 何故に?」


「それで噂が本当かどうかを測りたい」


「ならば断るよ」


「それこそ何故に!?」


「俺はあんたに測られる理由がないからだ。俺になんの得があるんだ」


「そうだな、得と言えば、金になる。それと信頼が買える。私に名も売れるぞ」


「金は欲しいが、その他は別に要らんがな」


「分かりました。ならば率直に口説きましょう。60000Gの報酬を払いましょう」


なに!


大金じゃんか!


それは欲しいぞ!!


まあ、冷静に……


「俺はソロ冒険者だぞ?」


「報酬は、勿論ながら独り占めでも構いませんとも」


マージーでー!!


やーりー!!


「ただし依頼を解決してもらえるならね」


冷静に、冷静に……。


ここはクールに対処しなければ。


「じゃあ、話だけでもお聞きしましょうか」


メトロ・ガイストが畏まって話し出す。


「あなたはウィンチェスターと言う人物をご存知ですか?」


「知らんな」


向こう側の世界の偉人としてなら知っている。


ウィンチェスター銃を作った金持ちで、奥さんが東京ドーム14個分の敷地に迷路のような屋敷を作ったってヤツだ。


しかし、今の俺には、この世界で、そのような名前の人物は記憶に無い。


聞き覚えの無い名前だった。


だが、メトロ・ガイストが出した名前に、ワイズマンが反応する。


「まさか、あの依頼ですか、メトロ・ガイストさん……?」


「はい、ワイズマン殿……」


答えたメトロ・ガイストが上着を脱ぎ出した。


なんで、脱ぐの?


そしてメトロ・ガイストが語り出す。


「ゴモラタウンにはウィンチェスター一家と呼ばれる大工の一族がおりました」


「過去形だな」


メトロ・ガイストは俺の質問に答えながらズボンのベルトを外した。


なんで!?


「はい、ウィンチェスター一族は、今現在壊滅状態です。あと一人しか生き残ってません」


「その大工の一族に、何があったんだ?」


メトロ・ガイストはズボンを脱ぎながら答えた。


おいおいおい、何故にストリップを始めるん!?


老紳士のストリップなんて見せられても嬉しく無いぞ!!


「ウィンチェスター一族は大工としてゴモラタウンに多くの屋敷を建てました。それはそれは素晴らしい出来の屋敷ばかりでした」


ワイズマンも言う。


「私の屋敷もウィンチェスター一家の建築物だよ」


なるほどね。


確かにあの屋敷を見るからに、ウィンチェスター一家の腕が良いのは分かるな。


「でえ、なんでウィンチェスター一家は一人を残して全滅したんだい?」


メトロ・ガイストは蝶ネクタイを外しながら答える。


ちょっと色っぽいな……。


「呪いですよ……」


「呪い……」


そして何故かワイズマンまで服を脱ぎ始めた。


マジで、なんで!?


全裸の呪いなの!?


「ウィンチェスター一家は、とある魔法使いに依頼されて、塔を建てたんです」


「魔法使いの塔かい?」


「そう。しかし、その塔が嵐の晩に倒壊して、魔法使いが生き埋めになって死んだんだ」


「その魔法使いに呪われたと?」


メトロ・ガイストはYシャツを脱ぎながら語る。


マジでなんで脱ぐん!?


そっちの説明もしろよな!!


「その通り。その魔法使いが亡霊と変わってウィンチェスター一家を殺し出したんです」


パンツ一丁になったメトロ・ガイストが言う。


「その魔法使いの亡霊が、今私に取りついております……」


「へぇ?」


メトロガイストが振り返ると、背中から太股にまで皮膚が爛れて人の形を作っていた。


それは紛れもなく老人の魔法使いの姿に見えた。


「こわ、何それ!?」


それと、メトロ・ガイストがそれを見せるために服を脱いだのは分かるが、何故にワイズマンまで服を脱いだのかが不明だわ!!


ただ、脱ぎたかっただけだよね!!


メトロ・ガイストが述べる。


「その魔法使いって言うのが、私の兄でね……」


「身内かよ!!」


「これは、我々ガイスト一家とウィンチェスター一家の望まれない戦いなのです!!」


「そんなの自分で片付けろや!!」



【つづく】

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート