ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げをしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語。

ハクスラ異世界✕ソロ冒険✕ハーレム禁止✕変態OK=絶賛連載中÷微妙に癖になる。
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第45話【新たなる展開】

公開日時: 2020年9月21日(月) 02:08
文字数:3,127

俺の借りたての家が燃えたのは、大屋さんの寝タバコが原因だったらしい。


堅物っぽかったミセスでも、寝タバコってするんだなって思った。


てか、寝タバコで家が全焼とかって怖い話である。


俺はタバコを吸わないけれど、吸う人は気を付けなはれや!


って、感じであった。


三階建ての家は全焼したが、死傷者は無かったらしい。


炎もほかの家に燃え移るまえに魔法使いギルドのメンバーによって対策が打たれたらしいのだ。


どうやったかは知らないが、兎に角魔法の力なのは間違いないだろう。


この異世界の大きな町では、火災を消すのは消防士ではなく、魔法使いギルドの役目らしい。


魔法って、便利だよね。


まあ、そんなこんなで、もうしばらくスカル姉さんの診療所に、お世話になることにした。


そうと決まれば俺がやることは一つだった。


荷物を置く場所が決まったので、これからは冒険者の仕事に励まなくてはならない。


住まい探しは一旦終了である。


何故にそうなるかは俺も良く分からないが、思考が告げているのだ。


冒険をしなさい、と──。


それから俺は、今後から冒険者らしい身形でギルド本部に行くことに決めていた。


と、言いますか。


皆がフル装備でギルドに集まっているからだ。


何故かと理由をスカル姉さんに尋ねたら、流石は元冒険者である。


的確に俺の疑問を解き明かしてくれた。


「冒険者がちゃんとフル装備でギルドに居るのは、パーティーを組みやすいようにだ」


「パーティーを組みやすい?」


「身形でどんなクラスか、何が出来るのかが、装備を見れば大体分かるだろ」


「あー、なるほどね~」


そう言った理由らしい。


なので俺もフル装備を整える。


レザーアーマーの上にローブを羽織り、視線隠し用のフードを被った。


腰のベルトには、ショートソードとダガー三本を装着。


背中には矢筒とショートボウを背負った。


そして、手にはバトルアックスを持つ。


うむ、ちょっと欲張りすぎかな、この装備数は……。


俺はショートボウを諦めた。矢筒も外す。


代わりにバトルアックスを背負った。


此れぐらいなら良いだろう。


重量的にも動けるしな。


バトルアックスの重量軽減が大変助かっている。


この効果がなければ、俺にはバトルアックスなんて重すぎる武器になる。


装備すらしないだろう。


よし、これで冒険者ギルドに行ってみるぞ!


「スカル姉さん、行ってきま~す」


「はいはい、行ってらっしゃい」


俺はやる気の無いスカル姉さんに見送られて診療所をあとにした。


それとこの前のウルブズトレイン事件の際にレベルアップしていたんだが、その際に新スキルも習得していたので報告いたします。


新スキルは二つでした。


【パッシブ・アックスファイター。斧系武器の戦闘技術が向上】


【ノットラン。走る速力向上】


走る速力って、単純に言うと足が速くなるってことだろう。


まあ、この前の事件からして覚えそうなスキルであった。


ともあれ、どちらとも役にはたつスキルだろう。ありがたく貰っておく。


しばらく歩くと俺は冒険者ギルドに到着した。


一階の酒場を眺めたら、知った顔が一人だけ居る。


この町で、数少ない俺の知人の一人である。


見習い冒険者戦士のクラウドだ。


クラウドも俺に気付いたようで、こちらに歩み寄って来た。


だが、少し顔が赤いし、アルコールの臭いもする。


昼間っから酒を飲んでいるようだ。


「よー、アスランくん。元気だったかい?」


「まあ、それなりにな」


「これから僕さー、冒険に出るんだ。初パーティーを先輩冒険者さんと組んでね」


あー、こいつ、俺らと組んだパーティーをカウントから除外しているよ。


まあ、忘れたい記憶でもあるがな。


だから突っ込まない。俺って優しいぜ。


「キミも早く冒険に出れるといいね、アスランくん」


なんか見下されてるな、俺。


何故か上から目線ですねクラウドさんよ。


ちょっと構ってやるか。


「この前のゴブリン退治の依頼なら、あのあと俺一人で終了させといたぞ。元々ゴブリン退治ぐらいなら、俺一人で依頼を受けるつもりだったからさ」


嘘ではない。事実だ。


「え、本当に?」


クラウドは、可愛らしく目を点にさせていた。


「本当本当、これが戦利品だ。ホブゴブリンが持ってた戦斧だぞ」


俺は言いながら背中に背負っていたバトルアックスを片手で翳した。


「うわぁ……。ホブゴブリンなんか倒して来たんだ……」


「ゴブリンシャーマンも居たぞ」


「そうなの、それは本当に凄いじゃんか……。本当に一人で?」


「ああ、一人でな」


「す、凄いね……」


クラウドは信じ込んでいる。


まあ、嘘は一言も言っていない。騙してもいない。


それにしてもこいつは簡単に人のことを信用してしまうな。


だから騙されて装備を全部盗まれるんだ。


あ、俺もか……。


そうかぁ、俺って純粋無垢なんだなぁ~。


「ちょっと、どけや」


「うわっ!」


クラウドの後ろから大きな男が顔を出す。


大きく太い手でクラウドを押し退けた。


「坊主、立派な戦斧を持っていやがるじゃあねえか」


大男はゴリラみたいな顔をしていた。


巨漢には、鉄鎧を纏っている。


そして腰には俺と同じぐらいの戦斧を下げていた。


俺が戦斧を腰に下げたら、地面に付いて引き摺って歩いてしまうが、このおっさんは違う。


武器のサイズと、身体のサイズが一致している。


それだけ体格が俺とは違うのだ。


「ぷはぁ~~」


「ぅぷ!」


ゴリラ男が行きなり息を吹き掛けてきた。


酒臭い上に生臭い。


最悪だ。反吐が出そうになる。


「良い戦斧を持っているな、坊主」


「ああ、今のところお気に入りだ」


「でもよ、ちょっとデカ過ぎないか?」


「そうかな。扱えるから気にはしていないぞ」


「いやいや、デカいって、お前さんの口と一緒でな。がはははははー!」


あー、馬鹿にされてるね、俺。


|ビックマウス《大口叩き》ってことか。


でも、|ここでは《ギルド内》、揉め事を起こしたくないから、グッと堪えた。


喧嘩なんて馬鹿らしい。


だが、まだゴリラ男は俺に突っ掛かって来る。


ウザイな、本当に。


「なんだ、坊主。馬鹿にされたのに言い返しもしないのか?」


構ってられない。俺は踵を返した。


「ちっ、デカイ斧を持ってる割りには金玉が小さいのかよ」


金玉だと!


俺の金玉を見たこともないくせに!


俺は呟くように言った。


「お前のほうこそ体格より金玉は小さいだろ」


「なんだと、ごらぁ!」


あ、やばい。ちゃんと聞こえたようだ。てへぺろ。


俺が咄嗟に振り返るとゴリラ男が殴り掛かって来る。


早いな、暴力に訴えるのがさ。野蛮人かよ。


なんとも沸点が低いおっさんである。


「捻り潰してやるぞ、ガキ!」


いやいや、掴まず捻らずに、殴り掛かってるやんか。


俺はバトルアックスを盾代わりに拳を防いだ。


すると拳で叩かれたバトルアックスから除夜の鐘のようないい音が響く。


「ぐぁぁ……」


痛めた拳を押さえながらゴリラ男がよろめいた。


だが、その次には腰の戦斧を取ると振りかぶる。


マジですか?


それだともう戻れませんよ?


「この糞ガキが! 殴り殺してやる!」


いやいや、もう切り殺す段階だよ!


台詞が一つ遅れてますよ!


まあ、仕方ないので俺も戦斧を構えた。


それにしても、何故か自信があった。


|こいつ《ゴリラ男》には負けないと───。


しかし、ゴリラ男が切りかかろうとした時である。


ゴリラ顔の前に白い霧が出たように見えた。


「ふぅぁぁ~ん……」


するとゴリラ男は、突然前のめりに倒れる。


「気絶した?」


いや、違う。


良く観察してみれば、寝ている。


鼾をかいて寝ていやがる。


「酔いつぶれたのか?」


「違うな」


言ったのはテーブル席に座っているローブの男だった。


男は木の|杖《ワンド》を持っている。


身体の線は細いが視線は鋭い。


まるで刃物のような双眸である。


「魔法のスリープクラウドだ」


この男は、魔法使いのようだ。


だが、それ以上に、ヤバそうだ。


鷹のような眼である……。



【つづく】

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