ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げをしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語。

ハクスラ異世界✕ソロ冒険✕ハーレム禁止✕変態OK=絶賛連載中÷微妙に癖になる。
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第139話【謎の店】

公開日時: 2020年11月17日(火) 17:29
文字数:3,838

うぁ~~……。


もう朝からゲッソリだわ……。


結局南極大冒険的に六日目の朝を過ごしていますわ。


あのこそ泥野郎リックディアスに逃げられるしよ。


二時間も走り続けて追っ掛けた挙げ句、結局逃げられただとさ、すげーたまらんよな。


なんか町の反対側まで走ってきたしよ。


それにしてもだ──。


なんだか貧富が激しい街だな。


ここは貧民街か?


どこの町にもあるんだな、こんな場所ってよ。


恐らくこんな遠くまで誘導されたってことは、リックディアスの野郎は今ごろ宿屋に帰って荷物を纏めてバックレてるころだろうしよ。


もう、あいつには出合わないかな?


まあ、もういいけれど──。


どうせ取られた物が帰って来るなんて考えてなかったしさ。


さて、城にでも帰ろうかな。


それとも、まだちょっと昼飯には早いから、どこかで遊んで帰ろうかな?


でも、遊ぶって何処で何をしたらいいか分からんし……。


俺ってこの異世界に転生してから冒険しかしてないよな。


この異世界で遊び方も知らないや。


そもそもさ~、酒は飲めない。女遊びも出来ない。


あと博打ぐらいだろうけど、あまり賭け事は趣味じゃあないしな。


そう言えばお金の使い道も分からないや。


冒険以外は食っちゃ寝ばかりだもんな~……。


なんか新しい趣味を見付けようかな~。


ラノベ、ゲーム?


どちらも無いしな~。


ならば、自分で作る?


無理無理無理って感じだわ。


官能小説なら書けるかな?


しかも需要はめっちゃありそうだしさ──。


そんなこんなを考えながら歩いて居ると、露店が並ぶ賑やかな通りに出た。


さほど広い道でもないのに人の通りが激しい場所だった。


賑わってるな。


なんか珍しい物でも売ってないかな。


ちょっと見て回ろうか。


食料、食器、衣類、置物、ほとんど売られている物は私生活用品ばかりだ。


別に珍しい物は見当たらない。


掘り出し物か~。


ちょっくら魔力感知で息でも止めてみるかな。


ん?


なんだ?


あの通りから魔力の空気が大量に流れ出てるぞ?


行ってみるか。


そこは細い道だった。


四階建ての建物に挟まれた細い道は、人が一人やっと通れそうな裏路地である。


この細い道から魔力が流れ出ていた。


俺は恐る恐る薄暗い細道に入って行く。


細道は15メートルほどで行き止まりとなる。


その行き止まりには古びた扉が在った。


その古びた扉の隙間から魔力が溢れ出ていた。


扉の上には看板が在る。


俺は声に出して店の名前を読み上げた。


「選ばれし者たちの魔道器堂……」


俺が店の名前を読み上げると扉が僅かに開いた。


鼓膜の奥にカチャリと音が届く。


とても深い音だった。


なんだか怪しげな店だな。


これは入れと言っているのかな?


ならば入ってやろうじゃあないか。


そして俺が扉のノブに手を伸ばすと、扉が素早く引かれてバタンと閉まる。


なんで!?


俺はノブに手を伸ばして引いてみるが、扉はビクともしない。


なに、やっぱり入るなと?


「じゃあ、いいよ~だ」


俺は悪態を吐いてから踵を返す。


すると背後からカチャリと再び扉が開く音が聴こえた。


俺の足が止まる。


「畜生……」


俺は深呼吸をしたのちに、スピーディーに振り返るとドアノブに手を伸ばした。


だが、俺がドアノブに触れるよりも速く扉が閉まる。


「こんにゃろう!」


俺がガチャガチャとドアノブを捻りながら何度も何度も引くが扉は開かない。


固く閉ざしたままである。


「なーーろーー!!」


おちょくられているのか!?


俺はおちょくられているよね!?


落ち着け!


そうだ、落ち着こう……。


別にこの店に入りたいわけではないのだ。


無理して入らなくていいんだ。


「ふぅ~~」


俺は溜め息を吐きながら踵を返した。


すると再び背後から扉が開く音が聴こえた。


カチャリと……。


「俺、おちょくられてるな……」


俺は背中に背負っていたバトルアックスを手に取った。


そして、扉に告げるかのように、俺の意思を言葉に出した。


「その古びた扉ごと、ぶち破ってやるぞ!」


決めたぞ。


もう、今日は冒険に出ない。


ならばスキルを使ってでも、カッコ良く豪快に扉をぶち破ってやるぞ。


俺は振り返るとバトルアックスを頭上に振りかぶっていた。


すると扉がバタンと閉まる。


「食らえ、ヘルムクラッシャー!!」


全力で扉を打ち破ってやる!


「りぃぃぁああああ!!!」


俺が力一杯にバトルアックスを振るうと扉が全開した。


「ええっ!?」


俺はバトルアックスを空振りながらよろめくと、店内に雪崩れ込む。


「おっとっと……」


来店できた?


俺は薄暗い店内を見渡す。


凄く狭い店だった。


5×10メートル程度のスペースで、両壁には棚が有り、何だか怪しげな物品が並んでいた。


武器、防具、置物と、いろいろだ。


そして、正面の小さなカウンターには萎れた老婆が一人、しょんぼりと腰かけていた。


老婆が掠れた声で言う。


「空気の入れ替えをしていたのに、変な坊やが入って来たよ。困ったもんだねぇ」


なんだ、この婆さんは……。


息を止めて見てみれば、店内に並ぶ品物すべてがマジックアイテムじゃあねえかよ。


この婆さんは、何者なんだ?


「ここは会員制度のお店だよ。あんたは何も買えないし売れないわよ」


買えない、売れない?


それよりもだ。


まるで挑まれたかのようだぜ。


じゃあ俺は会員になるのみだな。


「どうやったら、会員になれるんだ?」


「この店は潜りのマジックアイテム屋だよ。試験が有るわねぇ」


「試験か。なら受けよう」


「なあに、簡単さ。マジックアイテムを持ってきなされ、+3以上のね」


「+3以上の?」


「そう、無理かしら。そりゃあ無理でしょうとも、何せ+3のマジックアイテムなんて、レア中のレアですものねぇ。ほっほっほっ」


なんだか婆さんは、高飛車に言いやがるな。


それが異様にムカつくぞ。


でも、+3か……。


一つだけ、有るには有るな。


俺は左腕のプレートメイルを外してカウンターの上に置いた。


【プレートメイルの左腕+3。耐火向上。魔法耐久向上。体術向上】


「今現在持っている+3はこれだけだがよ、如何かな?」


「へぇ……?」


婆は俺が置いたプレートメイルの左腕を手に取ると、細かった目を見開いて眺めた。


「こ、これは、何処で……?」


なんか驚いているな?


じゃあ、自慢げに述べてやるか。


「閉鎖ダンジョンで空手を使うアンデッドから貰った物だ」


「ほ、ほかのパーツは、どうなされた!?」


「フルプレートの他は、全部潰されたわ。残ってたのは腕だけだ」


「そうかえ……」


婆はプレートメイルの左腕をカウンターに置くと俺のほうに差し戻した。


「これは昔居た、ゴンザレスって言う武闘家の甲冑だよぉ。50年ほど前に閉鎖ダンジョンに挑んで以来、帰って来なかったがのぉ……」


「へぇ~。で、合格なのか?」


「ゴンザレスの代わりに合格だよ。彼もここの常連だったからのぉ」


そう言いながら婆さんは、プレートメイルの上に、一枚のプレートネックレスを置いた。


この町に来た際に、ベルセルクの爺さんから貰った貴族のプレートにも似ていたが、これには何やら魔法の文字が刻まれていた。


「会員証だよ。ただしこの店は高額だから、気を付けなはれや。破産しなはるなぁよ」


「見て回っていいか?」


「どうぞ……」


俺はフルプレートの左腕を装着すると店内を見て回った。


ほとんどが+3のマジックアイテムばかりだった。


どれもこれも使える能力のマジックアイテムばかりだ。


しかし、一つあたりの値段は10000Gを越えている。


使えそうなマジックアイテムは、20000Gから50000Gばかりだ。


100000Gとかもある。


たけーなー……。


でも、なんだろう。ちょっと冷めちゃうな。


良い店だが、俺は自分で拾ったマジックアイテムしか使わないって決めてるんだよな。


じゃないとハクスラスキルが意味を無くす。


「婆さん、悪いが何も買わないわ」


婆さんは、少し驚いた表情で言う。


「何故かね。やはりお金がないかのぉ?」


「お金なら余ってる。俺は自分で拾ったマジックアイテムしか使わないって決めてるんだよね」


婆さんは俺の言葉を聞いて沈み込み、皺だらけの口を閉ざした。


俺は何気無く言う。


「まあ、売るのもワイズマンに頼むから、その会員証も要らないわ」


「なに、あの馬鹿者と知り合いか?」


「ワイズマンを知ってるの?」


「知ってるともさ。お主はどんな関係なのじゃ?」


「友達みたいな関係かな」


「そうかえ、そうかえ……」


俺は店の出口に進んだ。


「じゃあ、帰るわ」


俺が店を出たところで、婆さんが最後に述べる。


「じゃあの、馬鹿息子に宜しくな」


「えっ!?」


俺は店内に速足で戻った。


カウンター前までスタスタと駆け戻ると、婆さんの皺だらけの顔に、俺の顔を近付けながら問う。


「婆さんは、ワイズマンの母ちゃんか!?」


「そうだがね?」


なにを!?


婆さんが、ワイズマンの母親だって!?


マジでかよ!?


「婆さん、幾つだよ!?」


「108歳だがのぉ」


「超高齢者じゃん!?」


って、ことは、ワイズマンは幾つなんだ?


108歳の息子だろ!?


ワイズマンも70歳か80歳ってことか!?


まだ精々40歳か50歳ぐらいだと思ったのにさ。


「じゃあ、婆さん。息子のワイズマンは幾つなんだよ?」


「あの子は私が80歳を過ぎたぐらいのころの子供だから、今は25歳ぐらいだったかのぉ」


「25歳ぐらいって!?」


マージーでー!?


うそぉ~~~ん!?


絶対にこの婆さんはボケているぞ!!


あのモッチリワイズマンが25歳ぐらいなわけがないだろう!!


もう、この店より謎だわ!?


てか、80歳で子供を産めるのか!?


女って、すげーな!?


てかよ、待てや。


そうなると、80歳の婆さんを抱いた男が居るってことだろ!?


そいつも凄いぞ!?



【つづく】

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