ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げをしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語。

ハクスラ異世界✕ソロ冒険✕ハーレム禁止✕変態OK=絶賛連載中÷微妙に癖になる。
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第192話【変態の勝利】

公開日時: 2020年12月18日(金) 00:43
文字数:2,523

突然ながらメガロの幽霊が現れた。


見るからにレイスですね。


『ぁあぁァあァあアああぁアアア』


「ジャンヌちゃんはさがってて!!」


「は、はい!!」


うわ~、キモイ……。


意気込んでみたけれど、なんだかメガロの亡霊はエグいな。


身長2メートルはあるよね。


巨大化してねえか?


変形してるって言ったらいいのかな。


灰色のローブから伸び出た両腕は、細くて異様に長いしさ。


長い足なんかローブから出てさ、膝の当たりから見えてますよ。


手も足も、爪なんて猛禽類のように伸びてますしさ。


何ですか、こいつは?


魔法使いの霊には見えませんがな。


『ぁあぁァあァあアああぁアアア!!』


しかも、すげー錯乱してないか!?


それとも発狂なのかな!?


俺がメガロを観察していると、メガロのほうから動いた。


フワリと浮き上がると天井に、背中を合わせて貼り付く。


「ちっ、上を取られたか!」


俺が愚痴るとメガロはカサカサと素早く動いて天井を前進した。


なんかキモイぞ!!


本当にキモイぞ、こいつ!!


巨大なゴ◯ブリみたいだわ!!


そして素早い移動で俺の背後に回ると床に下りて来る。


『しゃしャシャ!!』


着地したメガロはジャンヌの背後を取っていた。


「しまった、ジャンヌちゃん逃げて!!」


俺が叫ぶとメガロは長い身体を曲げてしゃがんでいやがった。


足元に居る黒猫のジルドレの顎を撫でている。


『しゃしャシャ~~♡』


「なぁ~~ご♡」


ジルドレはされるがままだった。


顎を撫でられて気持ち良さそうにしている。


それを見て俺は気付く。


「なるほど、そうだったのか!」


「ど、どうしたんですか、アスラン殿!?」


「ダグラスの猫たちがメガロに殺された理由が分かったぞ!」


「な、なんですか!?」


「メガロは猫好きだったんだ。そして猫たちを可愛がった!」


「ええ、そんなバカな!?」


「だから、可愛がり過ぎて、精気を吸い取ってしまったんだ!!」


「はぁ~?」


「その証拠に、ジルドレが弱りだしたぞ……」


「ニァ…………」


黒猫がフラフラしている。


「ジルドレ!!!」


使い魔を心配したジャンヌが剣を抜いてメガロに斬りかかった。


ジャンヌがジルドレを亡霊から救いだす。


しかし、ジャンヌの剣はメガロの頭部をすり抜けて床に当たる。


「なぜ!?」


剣を振り抜いたジャンヌが驚いていた。


あー、この子の剣はマジックアイテムじゃあ無いのね。


ノーマルウェポンじゃあ霊体を傷付けられないぞ。


よし、やっぱり俺がカッコいいところを披露しなければなるまい!!


「退いてくれ、ジャンヌちゃん!!」


俺はジャンヌを押し退けると黄金剣でメガロに斬りかかる。


「そら!!」


『しぁァあ!!』


メガロは身体を滑らせるように後退すると俺の剣を躱した。


やるな、こいつ!?


しかし今の動きは魔法使いの体術じゃあなかったぞ!?


そして間合いを築いたメガロが魔法を撃ってくる。


『しゃシャあアアア!!』


マジックアローだな!


レジストできない!!


魔法の矢が俺の頬をかすって過ぎて行くと、後方でジャンヌが「きゃ!」と叫んだ。


「ジャンヌちゃん!?」


どうやら俺が回避したマジックアローがジャンヌに当たってしまったらしい。


「大丈夫か!?」


「大丈夫です。このぐらいならヒールで治りますから!」


ちっ、やっぱりソロとは感じが違うな。


俺には仲間は無用だぜ。


邪魔に等しいわ。


とりあえず、ここはすんなりとメガロを討伐しなければなるまい。


「うらぁぁああ!!」


俺が黄金剣を振りかぶりながら前に出ると、メガロも前に出て来た。


何故に魔法使いが接近戦の間合いに入って来るんだ!?


いや、今は考えてる場合じゃあないぞ。


斬る!


「どらっ!!」


『しュ!!』


えっ!?


パンチ!?


目眩!?


俺は殴られたのか??


眼前がチカチカとしてやがる。


顎先を殴られた。


メガロの長い手が、剣の間合いの外から飛んで来て俺の顎を殴りやがったぞ。


こいつは──!?


更に鞭で叩かれたような派手な音が鳴った。


メガロのローキックが俺の太股に食い込んでいた。


俺の全身に激痛の稲妻が走る。


こいつは、武道家だ!!


「ぐっぐぅ……!!」


俺の身体がローキックの痛みに硬直して止まっていた。


そこにメガロの追撃が放たれる。


フックからのストレートパンチが連続して俺の顔面をぶん殴った。


フックとストレートの勢いに俺の身体が後方に飛ぶ。


「なぁろ!!」


だが、俺は踏み止まった。


倒れない。


『しゃあアアしャアあアシャ!!』


メガロが威嚇の声を上げていた。


高い背を丸めながら顔を付き出すと、大きく口を開けて掠れ声を叫んでいる。


「忌々しい!!」


俺はペッと床に唾を吐いた。


その唾に赤い物が混ざっている。


けっこうな強打だったから、口の中がザックリと切れてやがるぞ。


こりゃー、しばらくは熱いコーヒーが飲めないだろう。


いや、ヒールで治るかな。


「なろう、容赦しねえからな!」


俺は強く黄金剣を握り締めた。


もう隙は見せられないぞ。


ジャンヌちゃんに恥ずかしいところは見せられない。


次で決めてやる。


そう俺が心中で決意すると、真横の扉が開いた。


そこはダグラス・ウィンチェスターが寝ているはずの部屋だ。


あの糞爺が出てきやがった!!


俺とメガロが同時に横を向く。


不味い!!


「なんじゃ、さわがしいな?」


都合の悪いことに、メガロのターゲットが直ぐ真横に出て来てしまったのだ。


しかし───。


あれーーーー!?


「なんじゃ、お前ら。戦ってたのか?」


そのダグラスの格好は、ピンク色のスケスケネグリジェで、頭には金髪のカツラを被っていた。


下着はブラもパンティーも、黒い女性用だ。


それだけじゃあなく、顔にはキモイぐらいの化粧が施されている。


それを見た俺とメガロは背を向けてゲロを吐いた。


「げろげろげろ~~……」


『ゲロゲロケロ~~……』


そしてゲロを吐き終わった俺は、メガロより早く振り返っていたのだ。


「あ、隙あり」


俺は背後からメガロの身体を黄金剣で貫いた。


『ギィァァァあァあアアア!!!』


悲鳴を上げたメガロの霊は霧となって消えて行く。


【おめでとうございます。レベル22に成りました!】


わーい、やったー……。


レベルアップだぁ~……。


おそらく勝利の鍵は、どちらがより多く変態に慣れていたかだろう。


そう、俺のほうがより多く変態に触れ合っていたから、嘔吐から早く回復できたのだ。


これは、変態の勝利である。



【つづく】

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