ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げをしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語。

ハクスラ異世界✕ソロ冒険✕ハーレム禁止✕変態OK=絶賛連載中÷微妙に癖になる。
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第154話【閉鎖ダンジョン最終日】

公開日時: 2020年11月23日(月) 13:08
文字数:2,539

深夜である。


俺は自室のベッドで横になっていた。


テーブルの上の蝋燭に、マジックトーチで明かりを灯している。


魔法の継続時間からして、そろそろ切れそうなころであろう。


マジックトーチが切れたら眠りに付こうと思う。


まあ、ベッドに潜り込んで天井を眺めているだけなので、明かりも勝手に消えるし、いつ眠りに落ちても構わないだろうさ。


今日一日は、暇で呑気に過ごしたのだ。


休日の最後まで、こんな乗りのまま過ごしても構わないだろうさ。


明日が本番だろう。


閉鎖ダンジョンの七日目──。


テイアーから貰ったダンジョンのマップだと、そろそろドラゴンの体が眠っているポイントまで探索が終わりそうだ。


明日にダンジョンを探索すれば、おそらくドラゴンの体まで到達できるだろう。


そうなればだ。


その道中に、必ず居るだろう最強の英雄亡霊が──。


黄金剣のセルバンテス。


随分と昔の冒険者らしいが、強敵なのは間違いないだろう。


武道家の英雄に、エクスフロイダー・プロミスも強かったが、こいつが一番の問題だ。


黄金剣は間違い無くマジックアイテムだろう。


その他の防具もマジックアイテムだろうさ。


だから倒すのは困難だろうが、逆に倒せたらボロ儲けだ。


絶対に倒してやる。


そして、決着を付けてやるぞ。


ああ、マジックトーチの明かりが消えたな。


寝るか……。


ぐぅ~~……。


そして、あっと言う間に朝が来た。


俺はピーターさんが作ってくれた朝食を食べ終わると、パーカーさんにダンジョンの入り口を開けて貰った。


パーカーさんとピーターさんの二人が、見送りに来てくれる。


スパイダーさんは休みで家に帰って行ったから居ないのだ。


まあ、あの人はどうでもいいや。


俺はダンジョンの入り口を潜る際に二人に言う。


「たぶん今日でミッションが終わるかも。ラストだわ」


パーカーさんが述べる。


「そうか、久々に楽しい日々だったぜ」


ピーターさんも述べる。


「今日が最後なら、油断しないでね。無事に帰って来るんだよ」


「うん、分かった」


俺は明るく微笑むとダンジョンに潜って行った。


螺旋階段を下りながらランタンに明かりを付ける。


メイドたちのお風呂に繋がる謎の穴がある場所を通過して、レイス夫婦の部屋で線香を上げると奥を目指した。


そして、空手家アンデットが居た部屋を横切る。


それからエクスフロイダー・プロミスが遺言を残してあった迷路を通過して、更に奥を目指した。


道中で数体のスケルトンを倒したが、これといって強敵レベルのモンスターとは遭遇しなかった。


そして長く広い廊下に入る。


この広い廊下を突き進めばドラゴンの体が眠っている大部屋が在るはずだ。


要するに、この広い廊下の道中に黄金剣のセルバンテスが居るはずなのだ。


廊下は広く損害もほとんど見られない。


身を潜められそうな物も見当たらない。


これは潜伏などは無理だろうな。


そう考えた俺はランタンを異次元宝物庫に入れるとショートソードを抜いてマジックトーチを剣先に灯した。


ここからは、正面堂々と挑んでやろうじゃあないか。


まあ、最後の最後だし良いかと思った。


俺は慎重に足を進める。


トラップにも気を払う。


ここで詰まらないトラップでテンションを汚されたくないからな。


そんな感じで俺が慎重に進んでいると、廊下の中央に人影が現れる。


15メートルほど先に、胡座を組んで人型の何かが座っていた。


俺は目を凝らす。


その人物は男性で全裸のミイラだった。


素っ裸で何も身に纏っていない。


髪はボサボサで、体はガリガリに痩せている。


「なんだ?」


こいつがセルバンテスか?


でも、黄金剣を持っていないぞ。


それどころか装備品の一つも無いじゃんか?


なによりだ、こいつは動くのか?


そもそもモンスターですか?


ただの置物か?


トラップか?


まあ、調べてみるか……。


そう考えながら俺が足を進めると、残り10メートルの距離を残して動きがあった。


胡座を組むミイラの周りで空気が渦巻き始める。


周囲の温度が僅かに下がった。


渦巻く空気が床に溜まった埃を巻き上げる。


するとミイラがバギバギと乾燥した体から音を鳴らして立ち上がった。


あら、まあ、チ◯コまで萎れていやがるぞ。


可愛そうにな……。


そして、ミイラの双眸が赤く光だした。


半開きの口から何かが聴こえた。


『あ▩♯っぃ+……』


呼吸音なのか言葉だったのか分からない。


するとミイラの右手に黄金剣が召喚された。


ミイラは黄金剣をガッチリと掴んで構える。


一目で分かった。


それは剣技を極めた構えである。


やっぱりこいつがセルバンテスか!


俺は異次元宝物庫からロングボウを出すと矢を引いた。


狙いを定める。


すると、セルバンテスのミイラは次々と装備を召喚し始めた。


左腕には丸い盾。


ガントレットにプレートのブーツ。


頭には銀の王冠。


そして体には、やたらとセクシーなチャイナドレス。


えっ?


チャイナドレス!?


マジで!?


胸元がパッカリと開いてて、可愛らしいミニスカートのチャイナドレスですな……。


えーと、なんと言いますか、ミイラが着て居なければ、かなりプリティーでセクシーなコスプレですよ……。


是非ならこのチャイナドレスをグレイスママに着て貰いたいぐらいだわ。


あの豊満婆さんなら絶対に似合うぞ。たぶんさ。


ぐふっ!


や~べ、ちょっと胸が痛んだわ……。


さて、そんなことよりも、攻撃を仕掛けますかね。


俺は引いていた弦から矢を放った。


プシュンと音を奏でながら滑空する矢が、真っ直ぐにセルバンテスミイラに飛んで行く。


しかしセルバンテスミイラは素早い袈裟斬りで矢を撃墜させてしまった。


やるな、おい!


ならば、二発目だ!


今度はスキルを乗せて撃つ。


「スマッシュアロー!」


しかしスキルを乗せた二発目の矢も、黄金剣で斬り落とされた。


なに、こいつ!?


すっげえ、やるじゃんか!!


でも、盾を持ってるんだから使えよな。


俺がそんなことを考えていると、更にセルバンテスミイラの周りで冷気が強く渦巻いた。


すると盾の表面から白銀の狼が続々と三体現れる。


あーーらーー……。


なに、召喚魔法ですか?


ずるいな~。


てか、その盾はそう使うのね。


それにしてもさ。


なんか怖い顔でシルバーウルフたちが俺を睨んでますわ。


鼻の頭に深い皺を寄せながら敵意満点ですよ……。


これで四対一になってもうたわ。


「多勢に無勢だわ……」


狼はやっぱり嫌いだな~。


俺は後ずさる。



【つづく】

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