ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げをしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語。

ハクスラ異世界✕ソロ冒険✕ハーレム禁止✕変態OK=絶賛連載中÷微妙に癖になる。
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第187話【目指せ即死コンボ】

公開日時: 2020年12月15日(火) 19:40
文字数:3,481

「アスランくーん、私はここに居ますよーー!!」


「どこだワイズマン! 俺にはお前の姿が見えないんだ!!」


「わざとだよね! 絶対わざとやってますよね!!」


混乱するロビーに執事の爺さんがやって来て俺たちに伝えた。


「皆様、昼食の準備が出来ましたので食堂へお越しくださいませ」


「ああ、分かったよ」


俺たち三人は、何事も無かったかのように食堂に移動した。


そして三人で静かに昼食を取る。


それにしても驚いたぜ。


まさかワイズマンがちょっと運動しただけで、まったくの別人に見えるぐらい痩せてしまうなんて……。


贅肉が落ちたワイズマンは母親のグレイスに似て美男子だった。


マヌカハニーが惚れるのも理解できるぐらいの美男子だったぜ。


瞬時に痩せたことよりも、ワイズマンが美男子だというのが俺には信じられなかったのだ。


そして俺たちが昼食を取るとワイズマンが一瞬で肥りだす。


えっ、なに?


痩せたり肥ったりと変幻自在ですか?


もう人間の新陳代謝率を凌駕してますよね。


妖怪だよな。


「ワイズマンお帰り、今までどこに行ってたんだ?」


「ずっと一緒に居ましたよ……」


「すまない、俺にはお前の姿が見えなかったんだ」


「痩せた私の存在を、脳が拒否していたのですね……」


「なるほどね、そうだったのか」


脳が信じられなくて拒否すると、そこに真実が立っていても存在を認識できなくなると聞いたことがあるが、まさかそれが俺の脳に起こるとは思いもしなかったぜ。


ワイズマンの超新陳代謝よりも、美男子だという真実のほうが信じられなかったのだろう。


それで俺には痩せたワイズマンが見えなくなったのだ。


脳って不思議だよね。


詳しくは京極夏彦の『姑獲鳥の夏』をお読みくださいませ。


そんな感じで俺たちが昼食を終えると、ワイズマンは再びマヌカハニーのスパルタトレーニングで、俺の目の前から消えるのであった。


すると執事の爺さんが食堂に入って来て俺に伝える。


「アスラン様、冒険者ギルドから、お使いの方がお越しになりました」


「ああ、分かったよ」


俺は執事の爺さんに呼ばれてワイズマンたちと別れた。


これから仕事である。


そして、俺がロビーに移動すると冒険者ギルドの使いってヤツが待っていた。


女の神官戦士だった。


僧侶系の冒険者のようだな。


「ちゅーす、アスランでーす」


俺がチャラく挨拶を飛ばすと女性神官戦士が挨拶を返す。


「どうも、私はゴモラタウンの冒険者ギルドに所属している僧侶のジャンヌと申します」


金髪のショートヘアーに、ハーフプレートを纏った美少女だった。


年のころは俺と変わらないぐらいだろう。


そして、凛とした眼差しは戦士の眼光だった。


うん、凛々しい美少女キャラの登場だぜ!!


なに、これは、ご褒美回ですか!?


久々の新キャラが美少女ですよ!!


エロイことを考えなくても萌え萌えキュンキュンだぜ!!


テンションが上がるわ~!!


しかも明らかに聖女ジャンヌ・ダルクを演じたジョヴォヴィッチさんをパクりまくった安易なキャラ設定だ!!


ナイスだぜ!!


ナイス過ぎるぞ!!


俺はジャンヌに近付くと握手を求めて片手を差し出した。


そして俺の片手にジャンヌが片手を伸ばしたところで、どこからともなく黒い影が飛び出して来て俺の手を攻撃して来る。


「痛っ!?」


なんだ今のは!?


俺が攻撃を受けた手を見てみれば、爪で引っ掛かれたような三本傷が出来ていた。


「爪痕……?」


俺は攻撃を仕掛けた黒い影を追った。


それは床の上にムクリと座って居る。


「黒猫か……?」


床にちょこんと座って居たのは黒猫だった。


その黒猫にジャンヌが駆け寄りながら謝罪する。


「ご、ごめんなさい。この子はジルドレちゃんといいまして、私の使い魔です」


「ジ、ジルドレ……」


ジャンヌはジルドレを抱え上げると胸の前で抱いた。


まあ、ただの使い魔猫だ。


不吉な名前だが、害はなかろう。


「猫の頭を撫でていいか?」


「はい、どうぞ」


俺が手を伸ばしてジルドレの頭を撫でようとすると、黒猫は「シャ!」と唸って俺の手に爪を立てた。


「痛い!!」


「あー、もー、ダメですよ、ジルドレちゃん。異端者でも引っ掻いたらダメでしょー」


「い、異端者……」


「すみません、この子は異端者には懐かないんですよ」


「はい、すみませんでした。俺は異端者ですね……」


「それより仕事の話に入りましょう」


「あ、ああ……」


俺はワイズマンの屋敷を出ると、ジャンヌが乗って来た荷馬車の荷台に乗り込みゴモラタウンの方角に向かった。


その道中でジャンヌから話を聞く。


「しばらくの間、メトロ・ガイスト様に代わって、私ジャンヌがいろいろな案内役として同行いたします」


「ああ、頼むよ……」


ジャンヌが荷馬車を運転しているのだが、俺は荷台で彼女の細い背中を眺めていた。


ジャンヌの横には黒猫ジルドレが座り、後ろの俺を見張るように凝視している。


見張られているな。


俺がジャンヌに手を出さないように見張ってやがるぞ、この黒猫野郎!!


糞!!


久々の美少女キャラが登場したと言うのに、指一本触れられないのか!?


これではエロイことを考えていて、呪いに苦しめられるネタにすら進めないぞ!!


邪魔だな……。


この黒猫は邪魔だぞ……。


「とりあえずこれからダグラス・ウィンチェスター様の仕事場に向かいまして、彼にお会いになってもらいます」


「ダグラス・ウィンチェスターに会えるのか?」


「はい」


「仕事場って、どこだよ?」


「今現在ダグラス様は、ゴモラタウンの郊外に屋敷を建築中ですので、そこを目指しております」


「そうか、確か大工の棟梁なんだよな」


「はい、大変人気の高い職人です。多くのセレブだちが彼に屋敷の建築を依頼しておりますが、順番待ちとなっております」


「へぇ~、繁盛してるんだな~」


やがてジャンヌの荷馬車が、ダグラスの建築中の現場に到着した。


建築中の屋敷は、素人目に五割程度の完成具合いに見えた。


まだまだ完成までは、日数が掛かるだろう。


荷馬車から下りたジャンヌが建築中の屋敷に向かって大声でダグラスを呼んだ。


「ダグラス・ウィンチェスター様はいらっしゃいますか~?」


すると一人の大工がこちらに歩み寄って来た。


年齢は60歳をこえた老人だが、体格はガッシリとしていた。


とても健康そうで、簡単に死にそうには見えない。


外観は四角かった。


四角い顔に、青髭の四角い顎。


髪型も四角い角刈り。


眉毛も凛とした四角い形で、目元も四角い。


体格も肩幅がガッチリしていて四角く見える。


総合するに四角い頑固親父に伺えた。


こいつがダグラス・ウィンチェスターなのか?


ちょっと聞いていたイメージと違うな。


だってこいつがメトロ・ガイストとホモ仲なんだろ?


その四角い親父がいなせな声で返事を飛ばす。


「よう、ジャンヌちゃんじゃあねえか。なんかようかい?」


しゃべりかたも男らしいじゃあねえか。


「メトロ・ガイスト様からの紹介で、退治屋を連れて参りました」


「ほほう~。新しい退治屋か~」


こちらに向かって歩いて来る最中に、ダグラスが近くに在った薪割り斧を拾って振りかぶった。


えっ?


投擲してくるの?


「おらっ!!」


ダグラスは全力で斧を俺に向かって投擲して来た。


わぉ!?


何故!?


俺は驚きながらも冷静に対処する。


まあ、投擲はホームから予想できてたからな。


ここは格好良く決めてやる。


ジャンヌちゃんに猛烈アピールだぜ。


「真剣白羽取り!!」


よし、成功!!


俺は投げられた薪割り斧を見事にキャッチしていた。


「何するんじゃい!?」


俺は掴んだ薪割り斧を持ち変える。


「ほほう、なかなかやるな、兄ちゃん。今までの退治屋は、全員が避けるだけだったのに、お前さんはキャッチしやがるとは」


「うるせえよ!」


俺は薪割り斧を投げ返した。


「うわ、あぶねえ!!」


ダグラスは叫んで避ける。


更に俺は走っていた。


薪割り斧を避けたダグラスを間合いに押さえる。


そして、問答無用で殴りかかった。


「ダッシュアッパー!!」


「ゲフッ!!」


俺の拳がダグラスの顎に炸裂した。


俺は全力で腕を振り切る。


「うらぁ!!」


「ふぅごぉ!!」


するとアッパーを食らったダグラスの体が宙に浮いた。


そこに俺の追撃が始まる。


PPP、PK、PK、PPK。


ナイス空中10連コンボ炸裂だぜ!


さらに倒れたダグラスに浴びせ蹴りからの踵落としを追い討ちで加えた。


「そ~りゃ!!」


「グヘッ!!」


これでトータルでHPを九割は泥棒できただろう。


ざま~ないぜ!


「ちょっとアスランさん、何をしているんですか!?」


ジャンヌが怒鳴りながら倒れているダグラスに駆け寄った。


即座にヒールを掛けている。


「いや、攻撃されたから、ついつい反撃しちゃったんだ……」


ああ、やり過ぎたかな……?


でも、即死コンボの完成は近いぞ。



【つづく】

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