【世界観】
エカルラートの世界では、現実世界に近しい技術や料理などに加えて『魔法』『魔石』『魔物』『魔剣』、それに『ドラゴン』や『冒険者』など極々普通のファンタジーの要素に加え、更には『政治』『経済』『貧困』『身分差』『宗教』『差別』『人種または人外』『職業』など、現実世界で起こりうる様々な問題を模倣、提起している。
それは端的にはただのコメディのように思えるのだが、そこにはステルスマーケティング(潜在的市場宣伝)やひらめき、壮大且つ緻密に組み込まれた伏線が織り成して物語を作り上げていくことになる。
<各地方について>
エカルラートの世界では、中心にツヴェンクルクというギルド本部がある街があり、そこにはダンジョンもある。また東西南北で様々な特徴がある街が点在している。
『南方地方』
南方地方は一年を通して温かい土地柄で麦などが平均して良く育ち、大陸の食料を一手に担っていると言っても過言ではない。もしも南方地方が不作になってしまえば、食糧事情は立ち行かなくなるだろう。
『北方地方』
冬になると厳しい寒さのために小麦などの作物があまり良く育たず、収穫される量いわゆる『取れ高』がその年の気候によって大きく変わるのだとか。つまり安定供給が難しいということになる。
『東方地方』
広大な海が広がり、小さいながらも漁港があるため一年を通して魚などが良く捕れる。だが、こちらまで運ぶ内に魚の鮮度が下がるためまったく売り物にならないのだ。もしも鮮度を落とさずに輸送することができれば、物珍しさと一定数の需要があるため、かなりの利益が見込めることだろう。
『西方地方』
こちらにも大きな街などが存在し、その地方独自の作物や工芸品、そして機械技術や製錬技術がこちらよりも遥かに発展している。
たまに西方から来る商人がこちらで荷を卸して商売をすると高い値段にも関わらず、すぐに売り切れてしまう程の人気があった。もちろんこちらまでの道のりが長いので、その分商品に値段を上乗せしているのは言うまでもないだろう。
だが、こちらもこちらで北方に行くよりも更に遠い道のりで、しかもその途中には『死の砂漠』と呼ばれる延々続く砂漠地帯を抜けなくてはならないため、商人達は売れる見込みがあるにも関わらず、リスクを考えて仕入れには行かないのだ。
『北方地方』『西方地方』『東方地方』とそれぞれ特色があり、安全で安定的な仕入れルートを確保することが出来れば、ギルドが支配する南方地方よりも確実に利益を得ることができるだろう。だが問題も山済みで、これらを解決するのには少し骨が折れる。
【各店ごとのランキング付けについて】
この世界では『飲食店』だけに限らず、武器や防具を扱う『武具屋』、薬草や日用品を扱う『道具屋』、そして宿泊所である『宿屋』など、各業種ごとにE~SSSの10段階でのランク付けがされ、客入りはもちろんのこと、質や接客などが評価されることになる。それは今後の客入りや税金の一部免除などの利点があるのは言うまでもない。
またそれらの店を評価するのは『商業ギルド』であり、実質的自らの利益を得るために活用されている。だが主人公達はその独占状態を崩すため、一路邁進することになるのだが、そうそう容易く物事が進むわけはないだろう。
【冒険者のランキング付けついて】
冒険者達は『冒険者ギルド』という、依頼人からの依頼とクエスト受注する冒険者とを繋ぐ組織に属しなければならない。そこでは依頼の難易度に応じてE~SSSまでの10段階のランク付けがされており、報酬が変わってくる。
また冒険者自体にも10段階のランク付けがなされており、クエスト依頼の『成功率』はもちろんのこと、仕事の質や態度、経験などが考慮・蓄積されることになる。
それと同時に冒険者には護衛任務や動物の駆除などに必要な『戦闘力』、ハーブや薬草などの珍しい食材を収穫採取する『採取技術』、また何かの作業や工作するのに役立つ『工作技術』、それと物々交換や他地方の人間と交渉する際に役立つ『話術』なども10段階でランク付けされることになる。
これらランク付けを判断するのは冒険者ギルド側であり、主人公達はそれに対抗するための組織『クラン』を後々設立することになる。
【歴史】
人間と魔王様が率いる魔王軍との戦いが何百年に渡って繰り広げられていた。いつしか人間達は「打倒魔王様!」を旗印に掲げ『冒険者』という役と、街中にダンジョンを誘致した。一見矛盾するようにも思えるのだが、そこにも『ギルド』という国家よりも強い権力を持つ組織の思惑が見え隠れするのだった。
【冒険者ギルドについて】
この世界において冒険者ギルドとは、絶対と呼べるほどの権力を持ち合わせている。一応国の中枢を担っている政府も機能はしているのだが、そのほとんどは冒険者ギルドによって抑えられている。
また冒険者ギルドには『工業ギルド』『商業ギルド』『農業ギルド』『漁業ギルド』『風俗ギルド』など、その権力により分散支配されている。もちろん冒険者達に対しては、クエスト依頼などの仕事も担っている。
【亜人について】
亜人……いわゆる人間以外の人の形をしたヒト。その容姿は男ならば、獣姿のまま二足歩行であるが、女性の場合は可愛らしい女の子である。特徴として耳やしっぽが付属されていると考えれば容易に想像がつくことだろう。
けれども彼ら、そして彼女達は人でありながら、人ならざる者である。
これは権力支配はもちろんのこと、日常的差別や職業差別、果ては奴隷制度が適用されており、総じて身分が低く扱われている。またいくら本人に能力があろうともまともな職に就けないため、主に危険な仕事を宛がわられたり、明日をも知れぬ冒険者になることがほとんどであった。
【主な登場人物紹介と補足説明】
<モブの中のモブ。ある意味でモブの王様にしてこの物語の主人公『タチバナ・ユウキ』(第1話より登場)>
元冒険者としてシズネに拾われ、一緒にお食事処である『悪魔deレストラン』を夫として経営することになる。序盤こそ周りのヒロインに弄ばれもしていたが最近では待遇も改善され、少しずつ意見を出したりして主人公らしくなり始めてきた。所詮はLv1の分際だが、ダンジョンにいけば才能が開花するかもしれない。また物心つく前に両親に捨てられた元孤児であり、冒険者として日々を食い繋いでいた苦労人。レストランでは料理の補助や賄い飯、皿洗いなどが主な業務だが、接客をする時もある。
<元魔王様・メインヒロイン『シズネ』(第0話より登場)>
云わずも知れた元魔王様、そして本作のメインヒロインであるシズネ。
基本何でも武力で解決できる実力を持ち合わせており、物事を捻じりに捻じりまくるのだが、結局最後にはどうにかなってしまう。
武器は愛用の魔法の杖と空間を割って取り出す神々の神器『モーニングスター』でトゲトゲと愛称を付けるほど。ついでに店のメニューであるナポリタンに使われるケチャップも、このトゲトゲが深く関与している噂も出たり入ったりしている。黒髪、黒のメイド服を着込み、ニタニタ笑う時もある。レストランでは主に調理を担当。接客も得意で本来なら2シルバーの代金なのに所持金全額を強奪できるスキルを持つ。
<現魔王様・可愛いマスコットの『もきゅ子』(第4話より登場)>
これまた云わずと知れた子供ドラゴンのもきゅ子。また大きく愛らしい目が特徴的で体は全体的に赤く、頭部には毛を所有していない。基本的に「もきゅ」や「きゅ~」の2つだけを使い分ける、わりとセリフで苦労する存在。
レストランでは主に客引きや片付け、そして食べ終わり帰ろうとする客の裾を引っ張り席に座らせ、再び注文を取る接客上手。だがメニューオプションとして、10万シルバーで売り飛ばされそうになったことがある。また実は元々は非常用の食料だったという噂も。
<冥王『ジズ』(第4話より登場)>
もきゅ子の護衛。似非関西弁を喋る。何か全身黒い……日焼けのしすぎ。人手不足のため、宿屋の玄関ホールに押し込められている。
<ギルドを追われた落第勇者『アマネ』(第17話より登場)>
赤く長い髪を有した元ギルド所属の勇者。魔王を倒せる武器である聖剣『フラガラッハ』を持っている。だがギルドでは戦闘経験もダンジョンに潜ったこともないと知られると冷遇される。屋根裏部屋でパン一つの生活だったとか。レストランでは主に接客を担当。演技派でたまにギルドのレストランで働いていた頃のある癖が出る時がある。ショーなども得意らしいから後々活躍するかも?
<ギルドの長・ツンデレ『マリー』(第26話より登場)>
元の名前はマーガリート。だが長いのでマリーと愛称で呼ぶ。常に偉そうなのだが、実際偉い。金髪のツインテールに貧乳というまさにツンデレの鏡。周囲の口減らしのため、モブ男を自らの夫にしようとするが実は内心ではかなり気に入っている。
<マリーの従者・女剣士『アヤメ』(第26話より登場)>
マリーを護衛するため常に傍にいるアヤメ。物腰が柔らかく美人なお姉さん。気を許した相手にはトコトン甘える甘えん坊さん。幼い頃、ギルドで護衛をしていた両親を亡くし、ユウキ同様孤児となるがギルドに拾われ、その恩を返すためマリーの護衛に。
未だその武力については語られていないが、シズネさんと同等の力を持っているかもしれない(主人公目線)。実はサラシを巻いているので隠れ巨乳との噂も。マリー同様、ユウキを自らの伴侶としようとする。もきゅ子に食料庫に閉じ込められ、ユウキと急接近する。
<魔王を倒せる唯一の武器『聖剣フラガッハ』『魔神サタナキア』(第51話より登場)>
シズネのトゲトゲに次ぐチート武器。その剣身には魔神サタナキアが封印され、人手不足のため起こされる。また中二病なのか、「妾は世界を滅ぼす~」とか妄言を吐いている。だが最近その封印が解かれ本体の姿を取り戻した。レストランでの役割は給仕。主に料理を運んだり、常に皿を割ったりしている。また宙だけでなく、湯にも浮くらしい。
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