母さんが、死んだ。
私にとって、その出来事はあまりにも唐突だった。
言葉にできなかった。
何もかも。
信じたくなかった。
嘘だと思いたかった。
目が覚めたら、きっと何もかも嘘だったって、そう期待してしまう自分がいた。
今でも思い出すんだ。
すぐ隣に、母さんがいたこと。
笑い合える日々があったこと。
——きっと、それはいつになっても。
「みかん、朝ごはんできたよ」
12月を過ぎて、正月を迎えていた。
窓の外には白い雪が積もって、冷たい空気が、コタツから出たばかりの私の体を冷やす。
つい最近まで、朝6時になったら目覚ましが鳴っていた。
制服に着替えて、朝のニュースに耳を傾けていた。
それが「普通」だと思ってた。
朝起きたくなくても、起きなきゃって。
学校に行かなきゃって、そう思うことがさ?
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