俺は無事童貞の希望の店【ぱふぱふ屋】を見つけることができ、狂おしい程に夜が待ち遠しくなりつつも、やる事が無くなったため宿屋に戻る事にした。
既に頭の中にガンダッタの事は消えていた。
せっかく情報屋に会えたのだから、本来であればそこで情報を入手するべきであっただろう。
しかし、今はそんな事はどうでもいい!!
俺の頭の中は【ぱふぱふ】で一杯だ。
他の事を考える余地などない!
それぐらい重要であった。
しかし、なんか周りが騒がしいな。
ふと、気になって耳を傾けると、それは聞こえてきた。
「おい、見たか?さっきの?」
「あぁ、すげぇ美人ばかりだったな。しかも男はいねえ。」
「どうする?声かけるか?」
「やめとけやめとけ、さっき一人の勇敢な若者がチャイナ服の美女にボコられて踏みつけられてただろ。」
「あれな、でもよ。踏まれてた奴……なんかいい顔してたぜ?俺も踏まれてみてぇ。」
なんか嫌な予感がするな。
チャイナ服って……いや、まぁこれだけ人が多いんだ、気のせいだろ。
そんなことより今は、ぱふぱふに備えて、出来るだけ綺麗な【ぬののふく】と石鹸の用意だ。
俺はとりあえず地図を買うと、今回教えてもらった場所を記載し、絶対間違えないようにした。
夜は暗くて街の雰囲気も変わりそうだからな。
準備するに越した事はない。
そして、丁度服屋で服とステテコパンツを買うと、何やら外から聴き慣れた声が聞こえてきた。
「ねぇお兄さん、もっと安くならないかしら?」
「は、はひ!1ゴールドでいいっす!でもできたらこちらで試着してもらえませんか?」
「あんた……踏まれたいの?この豚め!」
「はひ~、どうか……どうかこの豚を踏んでください。」
「そうね、安くしてくれたから服を着るまえに踏んであげるわ!」
「ぶひーーー!」
うん……この声はイーゼに間違いない。
あいつは何やってんだよ……。
こんな街中で女王様プレイとかうらやま……いかんいかん!俺だって今日こそ!
「おーい、何やってんだお前ら。」
「あ!サクセス様!やはり私たちは運命の系で……」
「ちょっとどきなさいよ変態。サクセス!見て見て!パジャマ買っちゃった!可愛い?ねぇ可愛い?」
リーチュンがイーゼを排除した。
パジャマだけ見せられても……。
後で来ているところを見せてもらおう!
「お、おう、良い感じだな。後で着てるとこ見せてくれ!」
「やったー!オッケー!!ちゃんと見てね!」
ちゃんと見るさ!
すると今度はシロマが……。
「サクセスさん、私も服を買いました。イーゼさんのおかげで大分お安く買えました。」
シロマは白いもふもふの綿が首についた、紫色のローブを羽織っている。
「おお、似合ってるじゃないか。どれどれ
ステータスはっと」
【魔法の法衣】
防御力42 スキル 全属性ダメージ20%減少 知力+10 レアリティ98
「んん!ちょ!これ強すぎないか?高かったろ!」
俺はあまりに強い装備だったので驚く。
防具の値段とかわからないけど、なんとなく5000ゴールドは最低でもしそうだ。
「いや、それがイーゼさんの知り合いらしくて1500ゴールドぴったりにしてもらえました。えへへ」
シロマが嬉しそうに笑ってる。
その可憐な笑顔は俺のリビドーを抑制した。
「そうか、ほんとよく似合ってるぞ。これで防御も安心だな!」
「はい!」
本当にいい笑顔だ。
「サクセス様、私の服はどうですか?」
つられてイーゼも服を見せてくる。
がしかし、違いがいまいちわからない。
元々魔術師っぽいローブだったからか、あまり違いが……。
「ちょっと見せてくれ。」
「はい、好きなだけ見て下さい。なんなら、服の下も新調してますのでそちらも……。」
相変わらずの変態エルフである。
とりあえず、俺は黙ってイーゼの服を掴んだ。
服の下は誰もいない時な!!
【大魔導ローブ】
防御53 スキル 魔封じ無効 知力+20 レアリティ53
!?
なんじゃこりゃーーー!
どう考えても上級装備じゃねぇか!
「おま……これ……どこで盗んだんだ?今なら俺が返しに行ってやるから、吐いちまえよ。」
「いやですわ、サクセス様。このローブは成金の豚……じゃなくておじ様が1000ゴールドで譲って下さったのですよ。なんでもどうしても私にこの服を着て頭を踏んで欲しいとかで。お陰でお金が余りまして、みんなの下着や肌着を新調できましたわ。」
もう何も言うまい。
なるほどな、そこで這いつくばってる豚を大量にしつけてきたってわけか。
やはり通りで聞こえてきた噂はこいつらに間違いなかったか。
あれ?でもさっきはチャイナ服って……。
そうか、この街に二人の女王様が生まれたんだな。
「ところでサクセスさんは、何かいい情報はありましたか?」
「おお!そりゃ……あれ?あ、ごめん。嘘。無かったわ。すまない。」
あっぶねーー!
思わず口が滑りそうになったわ。
そういえばガンダッタの情報集めって名目で町歩いてたんだっけ……。
完全に忘れてたわ。
「まぁそうですよね。そんなに簡単に見つかるわけないですし、逆に簡単に手に入った情報であればガセでしょう。情報屋って名乗っておいて、金だけ取る詐欺師が増えてるらしいですからね。」
ギク!!
え? じゃあまさか……。
いや、師匠に限ってそれはない!
大丈夫だ!
信じろ!
俺の運を!
「そうですわね、たしかにサクセス様は人がよろしいので騙されてしまう可能性がありましたね。次からは私が必ず付き添いますわ。」
「アンタはダメ!むしろアンタが騙しそうだわ!アタイが変な奴をボコってやるわ!」
「あらあら、あなたみたいな単細胞じゃ、もっと騙されますわ。それに私はサクセス様を騙せない呪いがあるので無理ですわ。」
おっとぉ!
こんな街中で、言い争われたらかなわない!
「待て待て!今度からはみんな一緒だ。それでいいだろ。恥ずかしいから街中で喧嘩するなよ。」
「だって、イーゼが……。」
「サクセス様がそう言うならやめますわ。」
相変わらず相性が悪い二人だ。
とりあえず、みんな目的の物も買えた事だし宿に帰る事にするか。
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